第27話:古戦場・佐藤克也視点
「絶対の力を持たれる唯一の神様、私にアンデットを浄化する力を与えたまえ。
けがれた存在であるアンデットを浄化して滅ぼす力を与えたまえ。
ピュリフィケーション! ターンアンデッド!」
シュテファニーが浄化という名目の悪質な魔術を放つ。
シュテファニーの生まれ育った国が唯一の神だと信じる、悪神の力を使ってかわいそうなアンデットを滅ぼす。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
シュテファニーがもの凄く疲れている。
浄化魔術を使ってアンデットを滅ぼしたからじゃない。
イワナガヒメたちに浄化魔術をじゃまされて、多くの魔力を失ったからだ。
イワナガヒメはちは、僕が傷つかないようにウソをついていた。
シュテファニーの浄化が成功したと言っていたけれど、違った。
黄泉国に引っ越しさせるのを、浄化に見せかけていた。
「克也様、シュテファニーの疲れが激しいです。
1度城に戻られて休まれてはいかがでしょうか?」
イワナガヒメが動画で見た俳優さんのようだ。
見た目が白くて大きな犬だから、動物が演技する動画のようだ。
笑わないようにするのが難しいくらい、おもしろかった。
「そうだね、女の子は大切にしてあげないとね。
シュテファニー、今日はこれくらいにしておこうよ」
「申し訳ありません、勇者王陛下。
いつまでもレベルが上がらず、足手まといになっている事、おわび申し上げます」
ごめんね、女の子は助けてあげたいけれど、浄化はいやなんだ。
シュテファニーのレベルが上がらないのは、僕たちがじゃましているからだけど、しかたがないんだ。
生まれ変わる事もさせない、ひどすぎる魔術は使わせない。
シュテファニーが悪い神に利用されないようにする。
僕たちは1度お城に戻って、シュテファニーだけ残して古戦場に行った。
シュテファニーの国の唯一神が、新しい信者を手に入れた。
イワナガヒメたちが、悪神の悪だくみを見つけてくれた。
悪神が新しい信者を手に入れたけど、他の国の人間を信者にしたんじゃない。
他の国の人間は別の神を信じているそうだ。
人間を信者にしている神たちには勝てないので、弱い神から信者を奪った。
ゴブリンという魂のレベルが低い人型生物を信者にしたそうだ。
片言しか話せないゴブリンに、片言でも魔術が使えるようにしたそうだ。
自分を恨んで復讐の神を信じるようになったアンデットを、自分に害を与える前に浄化するというのだ、本当に性格の悪い神だ。
「唯一神様、ピュリフィケーション!」
古戦場に集まったゴブリンがアンデッドを滅ぼしている。
唯一神が自分を恨むアンデットを、ゴブリンを使って滅ぼしている。
許せない、絶対に許せない!
「イワナガヒメ、豆まきをして、だまされているゴブリンを殺さないで!」
「分かっております、お任せください、殺しはしません、ウォオオオオン!
アンデットを滅ぼす事も人を殺す事も許さん、ウォオオオオン!
唯一神を信じる者は許さん、ウォオオオオン!
我らを信じろ、我らを信じないと殺すぞ、ウォオオオオン!」
白くて大きな犬のイワナガヒメには手がありません。
僕が豆まきをすると言っても、豆まきをしたくても、できないのです。
なので、大声を出しておどかしてくれます。
おどかして、ゴブリンに言う事を聞かせてくれます。
おどかしておいて、説得するとは言うのはおかしいですが、豆をぶつけて痛い思いをさせるよりは、怖い思いをさせて説得した方がいい……いいはずだ。
「アンデットを滅ぼす事も人を殺す事も許さん、クッケェエエエエ!
唯一神を信じる者は許さん、クッケェエエエエ!
我らを信じろ、我らを信じないと殺すぞ、クッケェエエエエ!」
赤くて大きな雉型のヒノカグツチノカミも説得してくれます。
豆まきができないので、言葉でおどかして説得してくれます。
僕をこの世界に連れて来た、自称唯一神は絶対に許さないそうです。
お供のお供は、光孝大爺ちゃんの神社に仕える神使だそうです。
他の神社の神使も手伝いに来てくれているそうです。
その子たちもゴブリンに豆まきしてくれています。
「「「「「鬼は内、福は外!」」」」」
神使たちの言う事を聞いてくれたゴブリンたちが両手を上げています。
アンデットを浄化しない、人を殺さないと約束してくれています。
その代わり、唯一神にも天敵にも襲われない、安全な家を与える約束です。
「地上では暮らせない者たち、誰よりも弱くて食べられるだけの者たち。
彼らに安住の地を与える大きな心を持つイザナミノミコト。
ゴブリンが誰にも殺される事なく幸せに暮らせる場所、ヨミの国の女王ヨモツオオカミでもあるイザナミノミコト。
このままの彼らを受け入れてあげてください、お願いいたします、エントリ」
僕の呪文で多くのゴブリンが古戦場から消えます。
イザナミノミコトが創った異界に移住します。
果物が豊富で、唯一神に逆恨みされて殺される事もないので安心して暮らせます。
「天国では暮らせない者たち、恨みを捨てきれない哀しき者たち。
彼らの想いをそのまま受け入れる大きな心を持つイザナミノミコト。
アンデッドが恨みを持ったまま暮らせる、ヨミの国の女王ヨモツオオカミでもあるイザナミノミコト。
このままの彼らを受け入れてあげてください、お願いいたします、エントリ」
その場に残っているアンデットも黄泉国に移住してもらいます。
イザナミノミコトが新しい異界を次々と創ってくれるので、それぞれに合った異界を創ってくれるので、安心して移住してもらえます。
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