第25話:閑話・わがまま・イワナガヒメ視点
「克也が珍しくお願いしているのです、何とかなりませんか?」
私は黄泉国の女王であるヨモツオオカミことイザナミノミコトにお願いしました。
「私もできる事なら克也の好きにさせてあげたいのですが、急いで作った異界です。
それほど多くのアンデットを集められていないのです。
克也が思っていた以上に成仏させたので、残っているアンデットが少ないのです。
今も神使に集めさせているのですが、集まりが悪いのです」
「今集まっているだけでも、克也に成仏させてあげられませんか?
克也の事ですから、明日に影響するほどはワガママ言わないと思います」
「それは甘い考えですよ。
あの聞き分けの良い克也がワガママを言うくらい、成仏が気に入ったのです。
朝になるまでお願いするかもしれません」
「そうだぞ、男の子は熱中すると周りが見えないくなるんだ」
「それはスサノオノミコトの言動で良く知っています。
その熱中している男の子の気をそらす方法はありませんか?」
「そうだな、う~ん、克也は魔獣を傷つけられないし……ないな」
「スサノオノミコトは役に立ちませんね!
アマテラスは何か良い方法が思い浮かびませんか?」
「がんばってアンデットを集めるか、アンデッドのいる所を探すしかありません」
「そうですね、集めるか、集まっている所を探すしかないですね。
イザナミノミコトだけに頼るのではなく、私たちもお手伝いします。
手の空いている神使を総動員してアンデッドを集めましょう」
「まて、まて、まて、慣れないアンデッド集めをやっても効率が悪い。
それよりはアンデッドの多い場所にいる魔獣や虫を追い払おうぜ。
そこに克也を連れて行ってやるんだ。
俺たちが創ったダンジョンやヨモツオオカミが創った異界で成仏させるよりも、この世界の野山の方が、ずっと楽しんでくれるんじゃないか?」
「克也に、この世界の神が支配しているアンデットの相手をさせるのですか?!
過保護はいけないと分かっていますが、もう少し練習させたいのですか……」
「俺たち13人が脇を固めているのに、まだ心配なのか?」
「スサノオノミコトの言う通りだと分かってはいるのです……」
「イワナガヒメが克也の側を離れず盾になれば良い。
私がこの世界の神の支配下にいるアンデットを説得します。
できるだけ多くのアンデットを引き抜いて適度な人数にすればだいじょうぶ」
「ありがとうございます、イザナミノミコト」
「スサノオノミコト、貴男もできるだけ克也の側にいなさい。
何かあればガマンできずに飛び出すでしょうが、できるだけガマンしなさい。
これ以上克也を待たせられないでしょう?
今日は長くても私の異界にいるアンデットを全て成仏させるまでです。
私の異界は安全ですから、イワナガヒメだけついてきなさい。
他の11人は、この世界の神が支配しているアンデットを集めて来なさい。
特に、克也を召喚させた唯一神を名乗るバカの配下を1体残らず集めなさい」
イザナミノミコトがリーダーシップを取ってくれました。
普段は熊野十二権現の1柱として他の神に命じるような事はされないのですが、今回は克也のために他の11権現に命令してくれました。
他の11権現も反発せず、克也のためにアンデットを集めてくれました。
手の空いている神使を全て使って集めてくれました。
「克也様、男の子として女の子を助けてあげるのでしょう?
明日は早いのです、あまり遅くまで成仏させてはいけませんよ」
「うん、分かっている、ごめんね、ワガママ言って。
あまりのも楽しくて、どうしてもやりたくなってしまったんだ。
傷つけるのではなく、天国に送って幸せにしてあげるなんて、すごいよね!」
「そうですね、私も凄いと思います。
ですが、恵まれない状況でアンデッドになる者は限られています。
克也様が全て成仏させてしまうと、シュテファニーが浄化させるアンデットがいなくなりますから、早めに終わりましょう」
「うん、分かったよ、早めに終わるよ。
でも、シュテファニーだと、2体か3体しか浄化させられないよね?」
「いえ、急に強くなるかもしれません。
シュテファニーはこの世界の神を信じていますから、何があるか分かりません。
忘れないでください、シュテファニーの神は克也様を勝手に召喚した悪神です」
「そうか、そうだったね、僕は心臓が治って良かったけれど、他の子だったら家族や友達から引き離されて、殺し合いをさせられていたんだよね?」
「はい、その通りでございます、絶対に油断できない悪神です」
私が他の神々と別れて克也と話をしている間に、イザナミノミコトが特別な用意をしてくれていました。
今の克也が相手するには厳しい強いアンデッドを用意してくれたのです。
しかもその強いアンデッド、ゴッドアンセスタヴァンパイアを支配下に置き、克也を楽しませる演出をしてくれました。
5つ用意していた異界を逃げ回り、追いつ追われつの大活劇にしてくれました。
しかも成仏させるのではなく、黄泉国に送る形で終わらせてくれました。
つまり、1体も成仏させる事無く克也を満足させてくれたのです。
また克也がワガママを言った時に、ゴッドアンセスタヴァンパイアがリベンジに現れるという、ライバルと戦い続けるようにできるのです。
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