学校で1番の美少女に『あなたの声が好き』と告白された僕は、彼女専用のASMR配信者にさせられました ~きみとの”シチュエーションボイスな”癒しのひととき~
第1話 風邪の具合はどう? おかゆ作ってきてあげたぜ
学校で1番の美少女に『あなたの声が好き』と告白された僕は、彼女専用のASMR配信者にさせられました ~きみとの”シチュエーションボイスな”癒しのひととき~
にぃ
第1話 風邪の具合はどう? おかゆ作ってきてあげたぜ
「青葉優くん。ずっと……ずっと好きでした」
夕日が差し込む学校の屋上にて、一人の美少女が僕に向けて告白をする。
「佐久間さん。ほ、本当に? 僕なんかを本当に?」
佐久間美咲さん。
学園のアイドル的存在で皆の憧れの的。
そんな彼女が僕なんかを……?
「はい。ずっと気になっていました」
夢みたいだ。
学園で一番人気のある女子からの告白。
僕からの答えなど決まりきって——
「——貴方の『声』がずっとずっと好きだったんです!」
「……ん?」
「私専用のASMR配信者になってくれませんか!?」
「……はい?」
ASMR
最近ネットとかでもよく聞くようになった言葉だ。
確か『聞いていて心地よく感じられる癒やしの音声』みたいな意味だったはず。
「ASMRというと……雨音とか焚火の音みたいなヒーリング音声のことだよね?」
「はい!」
つまり、僕の『声』を気に入った佐久間さんは、僕に雨音や焚火音の物まねをやってほしいということだろうか?
「ざー……ざー……」
「ASMR舐めてます?」
「ガチトーンでダメ出ししてきた!?」
僕に何をさせたいんだこの人は。
「青葉くん。これを感情込めて読んでください」
佐久間さんから一つの便箋が渡される。
そこには長いセリフのような文章が綴られていた。
えーと、なになに?
『佐久間……いや、美咲。風邪の具合はどう? おかゆ作ってきてあげたぜ えっ? 冷ましてほしいって? 仕方ない子猫ちゃんだな ふー……ふー……ほぉら、これで食べられるだろ? 食べ終わったら俺の添い寝フェスティバルが待っているぜ』
「わっしょぉぉい! もっとふ~ふ~してぇぇぇぇっ!」
「……佐久間さん。風邪引いてるの?」
「せっかく妄想の世界にトリップしていたのに急に現実に引き戻さないでください!」
「いや……これ……何なの?」
「ASMRです」
「違うよね!?」
「違くないですよ。動画とかで今こういうのが流行っているんですよ? 看病シチュエーションはASMRランキングの中でも常に上位不動です。女の子は皆こういうのが好きなんです」
「世の中の女性は全員正気か!?」
こういう台本を読み上げるようなASMRがあったのか。
ヒーリング音声というよりはボイスドラマに近いな。
「言っておきますけどASMRは演じる人の声質が一番重要なのです。誰でもいいってわけじゃないんですからね。私は青葉くんの声じゃないと気持ちよくなれないのです」
「なんか素直に喜べない!?」
「青葉くんが私の性癖にぶっ刺さる声をしているのが悪いんです」
「絶対に僕は悪くないのだけはわかる!」
しかしまぁ。
学園一のアイドル様がまさか。
「まさかこんな変態趣味を持っている人だったとは……」
「変態ってなんですか! 好きな声質の男子に性癖ぶっささりの文章を読ませているだけじゃないですか!」
「自分の言葉に疑問持て!?」
ああ、もう。
告白されるかもだなんて浮ついていた自分が恥ずかしい。
「あのあの! 明日も文章考えてきますので、ASMRやってもらえませんか!? く、癖になっちゃって……」
返せ。
僕の初恋を——
「ちょ、ちょっとだけえっちな文章でも、い、いいですかね?」
返せぇぇぇぇぇ!!
こうして、僕と彼女のASMRな一時が始まってしまったのであった。
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