第36話 脱童◯



”え?”

”は?”

”おい、何見せられてんだこれwww”

”なんやこれ”

”きっしょ”

”おい、誰得だよこれ”

”せっかく同接300万突破しそうだったのに、急速に下がってってんの草”

”そりゃこんなもん見たくねぇもん”

”holy shit”

”Fu⚪︎k”

”It's the end of this world”

”外人ニキもブチギレで草”



「あ、あああああああああああああ!?!?!? おい待て、締め付けすぎだこれ!!!!」


 すると、二階堂の快感の声が、すぐに悲鳴に変わった。


「痛い痛い痛い痛い痛い!!! チ○ポ取れちゃう!! チ○ポ取れちゃうって!!!」


 俺は深々とため息をついて、振り返って二菜に回復魔法をかける竜胆を睨みつけた。


「おいおい竜胆。お前、どんだけ変態なんだよ」


「えぇ!? わっ、私が悪いのか!? いやどう考えても君のせいだろ!?」


 全く、責任転嫁も甚だしいな。自分のま○○のやったことくらい、自分で責任持てよ。


「マジマジマジマジ!!! マジで取れちゃうってこれぇ!?!? お願い助けっ」


 プチュン。


 すると、そんな快音がして、魔道具が地面にべちゃんと落ちた。

 魔道具は、もぐもぐと齧りとった二階堂のチ○ポを咀嚼し、そのまま飲み込んだのだった。


「ゲプッ」


 そしてゲップ。うわぁ、下品だなぁ。



”!?”

”うわ”

”ヒェッ”

”ヒュッ”

”ヒョッ”

”タマヒュンだわ”

”竜胆こっわ”

”いくら性欲が強いからって、チ○ポを食う女はNG”

”俺竜胆とえっちするの夢だったけど、ちょっと考え直すわ……”

”偽善者ニキ、よくこんなのに手○○して指無事だったな”

”¥78800 真性ドMのワイ、これには流石にドン引き”

”¥78800 て言いながらしっかり金払ってて草。お前ドMの鏡だな”

”¥78800 そういうお前も満額スパチャ払ってて草wwww”

”¥78800 今まで興味なかったんですが、竜胆暁さんのファンになります”

”竜胆暁魔性の女! 竜胆暁魔性の女!”



「竜胆……流石に酷すぎるぞ」


 二階堂は今や敵だが、同じ男として、これは味方せざるを得ない。竜胆を思いっきり睨みつけると、竜胆は涙目で叫んだ。


「風評被害だぁ!! 私のせいじゃない!!」


「チッ、もういい! そうやってずっと他責で生きていけ!」


 ともかく、これ以上二階堂を苦しめてはいけない。

 さっさと首を落として、さくらちゃんとの戦闘に移行するとしよう。


 俺は蹲る二階堂の元へと歩み寄る。すると、二階堂は涙でぐちゃぐちゃになった顔をあげ、俺を睨みつけた。


「許さない、許さないぞ、武蔵野純一!!!」


「えぇ……?」


 キレるなら俺じゃなくて竜胆だろ。こんな理不尽あっていいのか?


「ゆるさっ、ゆるさっうぼっ!?」


 ボゴンッ!!


 すると、二階堂の腹が音を立てて膨れ上がった。


「まるで懐妊だな」


 しかし、手○○もしたことのない男が懐妊するとは、なんとも不思議な光景だな。


「いや、チ○ポを失いメスになった男が妊娠するのは、筋が通ってるか……」



”通ってねぇよwwww”

”草wwwww”

”¥78800 二階堂のメス堕ち見せてくれてありがとう!”

”¥78800 チ○ポがなくなっただけでメス堕ちできるわけねぇだろ。救助民を助けてくれたのは感謝だが、あんま舐めたこと言ってんじゃねぇぞ!!”

”メス堕ちガチ勢ブチギレで草”

”ガチギレの割にちゃんとお金払ってて草”

”¥78800 なんで特殊性癖どもはこうも金払いがいいんだよwwww”

”¥78800 特殊性癖な分供給が少ないから、金を払わせてもらえるだけ感謝なんだよ”

”¥78800 わかる”

”てかなんだこれ!?!? 膨らみすぎだろ!!!”

”これ、偽善者ニキに勝てないからって自爆するつもりなんじゃないか!?”

”やばいやばいやばいやばい!!!”

”逃げろぉ!!!!!”



「いや、これは爆発ってより……」


「ああ、ああああ、嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼あああ嗚呼!!!!」


 ベリベリベリベリ!!!


 絶叫と共に、膨らんだ腹からにょきりと二本の腕が生えてくる。二本の腕は、そのまま腹を引き裂いた。


「嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼ああああああぁぁぁぁ……」

 

 二階堂はというと、そのまま息を引き取った……いや、正確ではないな。


 べちゃり。


 血を滴らせ、二階堂の腹の中から出てきたのは、魔物因子を取り込む前の見た目をした、いつもの二階堂だった。気配からしても、二階堂本人で間違いない。


 しかし、見た目は同じでも、今までの二階堂とは明らかに違う。


 つい先ほどまでは、魔物因子を取り込んだ人間だった。


 しかし、こうなったらもう、さくらちゃんと同じ、人の形をした魔物、魔人だ。


「……くく、ふふふ、くふふふふふっ」


 二階堂は、自分の身体を隅々まで見渡して、高笑いを始めた。


「なんと言うことだ! 俺は生まれ変わった! 人間を超越した、本物の強者に生まれ変わったんだ! これなら武蔵野純一を殺せる、殺せるぞ! ありがとう、さくらちゃん!」


「いえいえ……ですが、目的を忘れないでくださいね」


「ああ、分かっている。もちろんこの階層の人間どもは皆殺しだ……それに、生まれ変わった俺には、もっと高尚な目的ができたんだ」


 そして、二階堂は竜胆に視線を移すと、魔人とは思えないほど純粋な笑顔を浮かべた。


「竜胆、君のでっかいおっぱいを吸わせてもらうぞ! ばぶぅ!」


「……もう勘弁してくれ!!」


「……なるほど、生まれたてだから、性行為云々よりおっぱいを吸いたくなったんだな!」


 泣き叫ぶ竜胆を傍目に、俺は手を打って、二階堂のやつ上手いこと言うなぁと悔しさから歯噛みしたのだった。

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