第35話 ダンジョンテロリスト、二階堂との戦闘、開始


「やれやれ……」


 なぜだか知らないけどブチギレた二階堂の手が、ダンジョンの通路いっぱいに広がり、雪崩のように流れ込んでくる。


 その全てに薔薇のような棘が生えていて、とてもじゃないが手マ○向きじゃなさそうだ。



”!?!?!?”

”うおおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?”

”やべええええええええええええええええ!!!!”

”二階堂、マジでバケモンじゃん!!!”

”えげつない物量!!!!”

”てかそんなことより竜胆のま○○もうちょっとアップで写してくれ!!”

”流石にそんなこととか言ってる場合じゃねぇ!!!”

”死ぬうううううううううううううう!!!!”

”これ素手でどうにかなんのか!?!?”

”武蔵野純一大ピンチ! 武蔵野純一大ピンチ!”



 ……しかしさくらちゃん、一体なんのつもりなんだ? 


 少なくともママの命令ではないだろう。ママなら、二階堂なんて凡庸な男を駒として使うなんてありえないからな。


 それなら、さくらちゃんの独断? なんて思ってるうちに、手の濁流が目前に迫ってきていた。


「うりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!」


 俺はすかさず、一秒間に500発程のパンチを繰り出した。


 あいにく俺には二本しか腕がないが、こうすりゃ500本の腕があるのと一緒だ……しかし、本調子とは程遠い。これじゃカイ○キーレベルだ。



”!?!?!?!?”

”うおおおおおおおおおおおおおお!!!”

”すげええええええええええええええええええ!!!”

”なんちゅう破壊力だよ!?!?!??!”

”気持ちえええええええええええええ!!!”

”早すぎて逆に止まって見えるってやつじゃん!! 初めて見た!!”

”スーパースローお役御免で草wwww”

”二階堂の手棘だらけなのに、偽善者ニキ全然傷付いてねぇぞ!?!?”

”¥10000 やっぱ偽善者ニキ強えええええええええええええええええええ!!!”

”¥20000 いっけえええええええええええええええええ!!!”

”おいおい同接200万人突破してんぞ!?!?!?!?”

”エグwwwwww”

”そりゃ(日本がピンチなんだから)そうよ”

”¥60000 この手が救助者の元に届いたらやばい! 耐えてくれぇえええ!!”

”¥78800 偽善者ニキ頑張れええええええええええええ!!!”

”¥78800 身を挺して市民を守る、偽善者ニキかっけぇよ!!!”

”¥30000 偽善者ニキ頑張れ!!”

”¥78800 偽善者ニキ、いくらでも払うから頑張れ!!!”

”武蔵野純一最強! 武蔵野純一最強!”



「いたあああああああああああああああああ!?!?!?!?」


 十秒後、二階堂の腕を全て破壊し尽すと、二階堂が絶叫する。


 どうやら痛覚はまだ消えていないらしい。まだ魔人になり変わったというよりは、魔物因子を取り込んだ人間、と言った感じか。

 調子も良くないし、魔人になる前に終わらせようかな……っと。


 そこで、俺の腕にぶつぶつと斑点ができているのを確認する。ほう、暗澹龍の毒さえ効かない俺に症状を出させるとは、なかなかだな。


”やった、耐え切った!!”

”¥10000 すげえええええええええええええ!!!”

”¥78800 偽善者ニキ神すぎんだろ!!”

”¥50000 自分の金が人を救うために役にたつとか最高な気分だ!! 俺これから募金とかしよ!”

”¥20000 下手なとこに募金するくらいだったら、偽善者ニキにスパチャした方が人助けになりそう”

”¥30000 ホンマそれ。募金団体なんて表でいい顔して裏で何やってるかわかったもんじゃないし、偽善者ニキに貢いだ方が効率良さそう”

”えっ!?”

”おい腕どうした!?”

”うげええええええええええ!?!?!?!?”

”きっしょ”

”グッロ!?!?”

”見るからにヤバそうで草も生えない”

”偽善者ニキ大丈夫か!?!?”


 ……うねうねうねっ!!!!


 すると、斑点から二階堂の腕が生えてきて、俺の顔目掛けて拳を突き出してきた。



”!?!?!?!?”

”うわあああああああああああああああ!!!!”

”ヒェッ”

”キモすぎる!!!!!!”

”うぎゃああああああああああああああ!!!”



 コメント欄は阿鼻叫喚なので、スパチャの波が止まらないよう、俺はすぐさま対処することにした。


 バグッ。


 俺は二階堂の腕を全て喰らうと、そのまま咀嚼して、ごくんと飲み込んだ。


「うーん……意外とスッキリした味!」



”え?”

”おい、食ったぞ”

”マジ?”

”いや、それ、人の腕……っすよね?”

”マズイマズイマズイマズイ”

”消せ消せ消せ消せ消せ”

”人の腕を食うとか、偽善者ニキマジで倫理観大丈夫?”

”は? サンジに謝れ”

”あれは緊急事態やから仕方ないやろ。ひとまず人の足って気づいてなかったわけやし”

”自分の腕だから問題ない(震え声)”

”そうそう。俺も自分のチン○スとか食うけど、ちょっと体調悪くなるだけで全然大丈夫だよ”

”は?(ドン引き)”

”¥78800 私も偽善者ニキに食べられたい!”

”いやそれ、別の意味でやろwwww”

”¥78800 え? ううん。本当に肉として食べられたいの”

”ヒェッ”

”ヒェッ”

”ヒェッ”

”¥7000 偽善者ニキのファンが激ヤバなおかげで、偽善者ニキの激ヤバ行動が紛れちゃうの草wwww”



 脂っこい韓国料理でムカついていた胃もスッキリしたはずなのに、胸の中のモヤモヤは晴れない。


 やはり、精神的な問題が生じているようだ。数字で表すなら、10%くらいのコンディションか。俺の戦闘史上、まず間違いなく最低の数字と言えるな。


 ……妹に偉そうなことを言っておいてなんだが、このモヤモヤを抱えておきながら、あえて通常通りに戦ってみようか。


 それで、結果俺が死にそうになれば、毒を栄養に変えてまで生きようとする俺の身体は、生き残るため迅速に、このモヤモヤの正体を解き明かすはずだ。


 ……と言っても、10パーセントでも二階堂じゃ相手にならない。さっさと倒して、さくらちゃんとの戦いに移りますかね。


「クソ、クソ、クソ、痛いじゃないかあああああああああぁぁぁぁ!!!!」


 すると、二階堂はへたっぴな腰使いで腰を振り始めた。

 どうやら相当性欲が溜まっているらしいなと呆れていたら、


 ビュビュッ!!!


 二階堂の股間から、ビーム状の精○が飛び出てくる。


「おっと」


 手で弾き飛ばすと、じゅうと音を立てて俺の肌が焦げた。



”ファッ!?!?”

”ビーム!? そんなのも出せんのかよ!?”

”え、何気に偽善者ニキにまともに傷がついたの初めてじゃないか!?”

”マジやん!?”

”やばいやばいやばいやばい”

”¥78800 偽善者ニキ、マジで頑張ってくれ!!”

”偽善者ニキじゃハラハラしないと言っていた俺、無事ハラハラ”

”おい、今股間から出なかったか!?”

”え、てかこれ精○ちゃう?

”なんかドロドロしてるしマジで精○やん”

”きっしょ!?!?!?”

”てか二回腰振っただけで射○るの早漏すぎるだろwwww”

”こいつ、つい一週間前までは、イケメン探索者として売ってたんだよな……”



 なるほど、少なくとも暗澹龍のブレスなんかよりは遥かに高威力だ。しかし……。


「なぁ、二階堂!! それじゃあ中◯し出来ないぞ!!」


「はぁ!? 出すに決まってんだろ!!」


「いや、出したら女死んじゃうって!!!」


「構わない!!! むしろそれが気持ちいい!!! うっうっうっうっうっうっうっうっうっ!」


 二階堂の腰がガトリングガンのように動き、射○ビームが襲いかかってくる。

 ばっちいので竜胆と二菜に当たりそうなのだけ弾いて、叫んだ。


「なるほどな! それは理解できるが、せっかくの女が死んだら勿体無い! やっぱりこれで満足しろよ!!」


 威力はいいが、腰使いがへたっぴな分、隙だらけだ。


 俺は射○ビームのリロードの瞬間に、二階堂のチ○ポの前に飛んだ。

 

 そして、起動した竜胆ま○○魔道具を思いっきり二階堂のチ○ポにねじ込んだ。


「あふぉぉぉぉぉほうふうぬつっっぅっ!?!?」


 二階堂の悲鳴、と言うよりは喘ぎが、ダンジョンに響き渡ったのだった。


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