第61話 幼女、また高山エリア攻略?

 触手剣を用いた高速移動攻撃に、ウチは翻弄される。ちょこまかとすばしっこい敵を、捉えられなかった。

 だが、これで構わない。元々、強い相手を想定した勝負なのだ。多少のピンチくらい、自力で切り抜けなくては。でないと、自分のどこが弱く、どこが強みなのかもわからない。


 それにしても、相手はやはり体組織をハイエンドで組んできている。どの武器も、重武装ばかりだ。


 ダゴンでもわかったのだが、彼らはレアのマジックアイテムを体内に取り込んで扱っている模様である。魔物としての性能もあるが、マジックアイテムの力も燃料にして戦っているわけか。


 おそらくコイツらが奪い合っているのは、領土だけではない。体内にあるマジックアイテムも、目当てなのだろう。

 そうして奪ったアイテムを体内に取り入れて、より強くなっていく。

 それが、こいつらの目的なのだ。


 ウチから見たら、恐竜化まっしぐらにしか見えないが。


「逃げているばかりでは、我は倒せない」


 抑揚のない言葉遣いで、敵イーストエルフが語る。


「まあ、見とけや。お楽しみは、これからやさかい……こんなふうに」


 おもむろに、ウチは【妖刀】と【邪神ショット】を捨てた。


 イーストエルフからしたら、攻撃していないのに武器を取り落としたと見えたに違いない。


 だが、これでも相手のスキをつくに十分である。



 地面が光ったと思ったら、イーストエルフの背中が撃ち抜かれた。

 イーストエルフが、粉々になる。



「まさか、って顔をして逝ったな」



 なにもウチは、【邪神ショット】を一丁だけ作ったわけじゃない。

 もう一つ、作っていたのだ。

 アジトにこっそりと配置して、ジャストな位置に照準を合わせて、一気に撃ち出す。


 邪神ショットや邪神ビームのような高火力武器は、一発で確実に当てられるとは限らない。また、当たるとしても防御される危険もある。


 確実に当てられてダメージも通る作戦となると、どうすべきか。考えた末、「超長距離からの狙撃が確実かな」、と思ったのだ。

  

[【高山エリア】を攻略しました]


「え!? なんやて!?」


[これより高山エリアは、アトキン・ネドログの所有となります]


 コイツらからしたら、【荒野エリア】はアウェーのはず。

 なのに、どうして高山エリアを制覇したことになっているんだ。

 第一、高山エリアは……。


「ボス自らが、出向いてきたってことですかね?」


「かもしれん」


 しかし、高山エリアは攻略したはずだ。

 となると、可能性があるとしたら。


「そうか……わかった! こいつら、ツガイやない! この高山一つ一つが、一つのエリアなんや!」


 ウチは、高山エリアのスタート地点に向かう。


「やっぱりや! この高い山脈の山々は、それぞれ所有権が違うんや」


 高山エリアは、複数に別れている。

 彼らを倒しても、山を一つ攻略しただけ。


 つまり、複数ある高山をすべて潰さなければならないのだ。

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