第17話 公爵家の晩餐会 (2)


 あの日、宴会場は華やかさと高貴さ、そして歴史の痕跡がそのまま残る空間だった。高い天井にはクリスタルで飾られたシャンデリアが柔らかな光を放ち、壁には一族の歴史を描いた精巧な絵画とともに、時代の変遷を物語る痕跡が保存されていた。ホールに設置された舞台では、楽団が優雅な旋律を奏で、雰囲気を一層高めていた。



 様々なドレスや礼服を身にまとった貴族たちは、互いに挨拶を交わしながら微笑みを浮かべていた。女性たちは華やかな宝石とレースで飾られたドレスをまとい、男性たちはきちんとした正装に家紋を象徴するバッジを付けていた。



 我が家の異母兄である第二夫人の長男は、以前『新しい始まりの晩餐(The Banquet of New Beginnings)』に参加していたが、このような行事には疎遠な存在だった。それに対し、今回の宴会と晩餐の主役は私たちであり、全体の雰囲気も大きく変わったと感じた。



 私たちは宴の中心に席を取り、周囲には親戚や一族の関係者たちが集まっていた。そのため、互いに行き来しながら挨拶を交わすのに忙しかったことを覚えている。



 そんな中、父が壇上に上がり、マイクを手にして話し始めた。



「本日、このようにお集まりいただいた一族の皆様、そしてご親戚の皆様に深く感謝いたします。宴を進め、食事を始める前に、我が家の子供たちであり誇り高き双子の詳細な鑑定結果を発表させていただきます。皇室専属の鑑定士による結果、二人ともあらゆる分野での万能な資質が確認されました。これを祝してこの宴を催し、我が家の未来が非常に明るいことを皆様にお伝えしたいと思います。ご出席の皆様には、我が双子の未来を祝福するとともに、宴を心ゆくまでお楽しみください。」



 父の言葉に歓声が沸き起こり、あちこちから私たちに握手を求める列が続いた。



 その日は大変忙しく、慌ただしかったが、振り返ると悪くない気分で、とても印象的な思い出の一つとして心に残っている。














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