変態メス豚先輩の巨乳を触ってみよう
「フ。……フ? 聞き間違いよね? そうよね……? えっと、ごめんなさい、もう1回言って貰ってもいいかしら唯お姉様……?」
「下冷泉先輩のおっぱいを私に触らせて下さい」
「フ。聞き間違いじゃなかった……」
「素直に告白します。私は女の子の裸を見ると大変に動揺してしまうのです」
「フ。フゥン……?」
「そんな私の悪癖を身体測定の日までにどうしても直したいんですっ……!」
「ま、まぁ、そういう女の子もいるわよね。うん。私、先輩だからそういうのにも理解があるわよ、うん」
「女性の裸を見ても動じない為にはどうすればいいのか……そう思った矢先、私が頼れる女性の人は下冷泉先輩だけだったんです……! 先輩はかなりの変態ですのでそういうのに免疫がありそうだからお話を伺ってみようかと藁に縋るような気持ちで……!」
――実際に女性の胸や裸を実際に見たり触ったり匂えばいい。
そんな具体性があり過ぎるアドバイスを女装経験者から授かった私は昼休み以降の授業をまともに受ける事が出来ないまま、頭の中は只々ひたすらに悶々とした感情を覚え――何をとち狂ったのか、下冷泉霧香にアドバイスを求めるべく3年生の教室に向かっていたというのが実のところ。
正直言って、正気の沙汰じゃない。
それぐらいは流石に分かるけれども、自分の理性と本能が喧嘩したみたいに変になっているものだから、本当にどうしようもない。
お願いだから、誰でもいいから、この複雑が過ぎる気持ちを分かって欲しい。
「フ。分かったわ。唯お姉様が私にこうして頼る時点で唯お姉様がするであろう葛藤が尋常でない事ぐらいは容易に想像できる。だからそんなに申し訳なさそうな顔をしないで」
「で、でも……流石に人の胸を触らせてだなんて、そんなの……」
「女の子同士なら当然、でしょう?」
「……先輩」
「それに私は唯お姉様の胸を触ろうとしていたのだから、当然ながら触られる覚悟もあった……けど、念のために屋上に来て話をして本当に良かったわ。それ、他の女子生徒に聞かれたら本当に危ない発言よ、それ。あのまま3年生の教室の前で話していたらどうなっていたことやら。色々と追い込まれていて頭が十二分に働いていないのは理解できるけれどもね」
はぁ、と心底ぐったりしたと言わんばかりの大きな嘆息をしてみせる彼女は学園の屋上にあるフェンスに背中を預けながらそんな事を口にしてみせた。
「は、反省してます……自分でも色々とおかしくなっているのは自覚してます……」
「それならいい。でも……フ。唯お姉様は人前で肌を晒したがらないわよね。私が唯お姉様が入浴しているお風呂に突撃していても当たり前のように鍵が掛かっている所為で入れないし、いくら私が百合セックスのお誘いをしても部屋の中に入らないのは……なるほど、唯お姉様が女性の裸が苦手だったからなのね」
「苦手という訳では……あっ、ち、違っ……! 今のは、そういう意味で発言した訳じゃなくてっ……!」
「フ。本性現したわね、この処女膜大好き唯お姉様。やっぱりかわいい女の子である唯お姉様には変態淑女の素質がある」
「処女膜が大好きなのは先輩の方でしょうっ⁉」
少し前までの自分……こんな女装生活をするだなんて夢にも思っていなかった頃の自分であれば到底信じられないような会話をしているなという意識こそあれども、それでも何だかんだでこの先輩の所為でそういうのに免疫が付いたように思えてならない。
困った事に、私のセクハラ耐性は目の前にいる変態によって著しく向上しているのであった。
一応、言っておくが。
調教された訳ではない。
自然と身についた免疫だから、コレ。
……だよね?
「フ。とはいえ唯お姉様が言いたい事は分からないでもない。だけど、女子同士……それも高校生同士なら互いの裸なんて気にしないのが実のところ」
「ほ、本当なんですか……?」
「フ。どうにも編入生である唯お姉様を納得させるには理由が足りないみたいね。というのも、此処はご存知の通り小中高一貫校。小学校から高校まで同性の他人の裸を見続けるのがこの女学園。だから女性の裸なんて飽きるほどに見た人が多い訳なのよね」
納得は、出来る。
それに関しては、女子を男子に置き換えても納得が出来そうな論理だった。
確かに余り交流のない同性に自分の裸を見せるのは少し抵抗があるかもしれないけれども、共に同じ時間を何度か過ごした後だとそういうのが余り気にならなくなるというのはよく聞く話ではある。
……まぁ、私の同級生の男子は私が着替える度に何度もチラチラと裸体を見ていたけれど……特に下半身……。
「だけど、唯お姉様の場合は話が違ってくる。いい? 唯お姉様は今年の4月に転校してきたばかりの異物。周囲のお嬢様方はお美しい唯お姉様の全裸姿に興味津々……というのはさっきのクソスレを見せたから説明しなくてもいいかしら?」
下冷泉霧香の言う通り、周囲の女子生徒は僕に対してかなりの興味を持っていらっしゃる。
つまりは着替える際に衣服を脱いでいる半裸に近い恰好の女子生徒が、着替えている私に視線を向ける可能性が凄まじく高い。
そうなってしまうのが安易に予想できてしまう。
私は周囲に警戒しながら着替えをしつつ、半裸の状態でこちらをまじまじと見つめてくる女子生徒たちの視線を掻い潜って更衣を済ませなければならない……だなんて、列挙すれば簡単に思えるかもしれないけれども、その実、かなりの難易度を誇る。
何せ、こちらは欲情をしてしまえば下半身の生殖器が膨れ上がってしまう。
そうなれば女装生活の危険度も跳ね上がる。
その瞬間を見られでもすれば、違和感でも感じ取られれば、ここでの生活は終焉を迎えてしまう可能性が生じてしまう。
「フ。人の目っていうのは慣れていない時には気になって当然よ。私だって演劇に慣れるまでは人の目が気になって気になって仕方がなかったし……なので唯お姉様にはお望み通り、女の身体に慣れて貰う必要がある」
「え⁉ え、ちょ、いや……ほ、本気なんですか……⁉」
「本気よ」
慌てふためきながら弁解する僕を置き去りにしてみせた彼女はベンチから立つや否や、いきなり制服のボタンを……胸のあたりのボタンを全て外すと、柔らかそうな肌とブラジャーを私の視界に入れてきた。
「せ、せ、せ、先輩……⁉」
男性としての本能が、勝手に、たわわに実った先輩の胸を見続ける。
視界から逸らそうとしても、本能だけはどうしようもないぐらいに正直で、逸らしたというのに彼女の魅力的すぎる双胸を勝手に視界に納めようとしてくる。
自分が思っている以上に、男の欲望とは抑えが利かないという事を、こうして身体で理解させられていく。
「や、ち、違っ……! 違うんです……! ごめ、なさっ……! 見て、ごめんなさい……!」
「フ。可愛い。でも本当に唯お姉様は恥ずかしがり屋なのね。演劇だとかで露出のあるドレスに着替えた経験がある私にとってはこれぐらいなんてことはないのだけど」
「それは……そうかも……しれませんけれど……!」
「フ。何もしないから落ち着いて私の胸を見て。こんなのは皮膚で覆われただけの肉塊」
「う、うぅ……!」
合意を得た事で私の理性がいよいタガが外れてしまい、本能と全く変わりない勢いで彼女の見事な胸を視界に納めた――その瞬間。
「フ。捕まえた」
――彼女が私の頭を両手で抑えて、私の頭をそのまま彼女自身の豊胸に押し当てる。
「ちょっ⁉ ちょっ……⁉ え⁉ は⁉ えぇぇぇ⁉ 先輩⁉ な、な、な、いきなり、何、を……⁉」
「フ。落ち着いて」
「おおおおおおおおお落ち着ける訳がないでしょう一体何を考えているんですか先輩……⁉」
「フ。唯お姉様が動揺しているのは珍しい。あぁ、動画か何かでこの瞬間を映像に遺せないのが本当に悔やまれる」
「いやいやいやいや……⁉」
「フ。少しは落ち着きなさい。たかが同性の胸を唯お姉様の頭に押しつけているだけじゃない」
落ち着けられる訳がない。
私は今、下冷泉霧香が制服の胸辺りのボタンを外し、外の世界に露出させたブラジャーとたわわに実った巨乳を私の頭に押しつけるだけでなく、簡単に逃げられないように私の頭を両手でしっかりと、優しく、押さえつけているのだから。
「フ。うるさい口ね。胸で黙らせてあげようかしら」
彼女は面白そうにそう口にすると、更に私の頭を彼女自身の近くに押し寄せる。
当然、目と鼻の先にあった胸が更に近くなってしまい、男である私は剝き出しにされた女性の胸に口付けでもするかのような、あるいは吸い込まれていくような体勢にさせられてしまう。
「……ぐむっ⁉ むぅ……⁉ むむっ……⁉」
「フ。夢にまで想像した唯お姉様のくぐもった声。まさか猿ぐつわでなく、私の胸で押し潰した時のパターンで聞けるだなんて夢にも思わなかった」
正確に言えば、喋られないのではなく喋れない。
仮に口を開いてしまえば、彼女の胸の間から漂ってくるであろう女性特有の匂いに、胸の触感が更に自分に襲い掛かってくるであろう事は想像に難くないし、そんな事をされてしまえば私の下半身がとんでもない惨状を引き起こしてしまうのも簡単に想像できてしまった。
「フ。どうしたの? ちゃんと呼吸をしないと駄目でしょう?」
私を本当に同性に思っているからか、下冷泉霧香は実に何ともなさそうな声音で淡々と言ってのけているが……私は男だ!
そう、男!
それも血の繋がっていない他人の胸をこうもまじまじと見るどころか、それを直に押し付けられるだなんていう経験もした事もない男!
そんな男がこんな目にあって落ち着ける訳が――!
「落ち着きなさい」
ぎゅう、と先ほどよりも強く私を抱きしめてきた彼女だが、先ほどと違って、心底安心するような抱擁に私は為すがままにされていたと思う。
――何故だろう。
私の顔一面全てが柔らかくて、暖かくて、弾力があって、思い出したくても思い出せないような……懐かしい感覚で覆われていく。
――何だろう、この感覚。
死んだ母さん?
いや、物心がついた時には母さんはもう死んでいた。
覚えている筈なんて、ない。
じゃあ、これは――。
「――姉、さん――?」
それは遠い昔に姉にされたような、母性とでも言うべきようなそれは、性欲によって生じるような熱とは全く違う温かみを私に与えてくれて、どう見ても普通じゃあないというのに私は安堵の感情を覚えてさえいた。
だからだろうか。
私の両目から、勝手に涙が流れていたような気がする。
「――――。……そう、唯お姉様にはお姉さんがいるのね」
「もう、死にました。もう、何処にもいません」
「………………そう、なのね」
どうしてだろう。
本当に訳が分からない。
だけど、こうして先輩にされるがままになりたい。
ずっとこうして、無様に抱擁されたい。
だけど、それは許されない。
だって、この行為を続ければ、私の女装がバレてしまう。
それがバレてしまえば――私はまた、1人になる。
姉さんが死んでしまった世界に、1人ぼっちの生活に、もう戻りたくない現実に戻ってしまう。
まだ私は……この優しい夢のような世界に浸っていたい。
あぁ――なんて卑怯者なのだろうか、私は。
「先輩。離してください」
「……離さない。今の唯お姉様を離したら遠くに行ってしまいそうだから、離さないわ」
そう優しく彼女が口にするけれども、依然としては私は下冷泉霧香の胸に頭を抱き寄せられたまま為すがままになっている――だけど先ほどよりかは、かなり落ち着いている。
こんな状況で落ち着いてしまうのは危機感だとか、色々な感情が欠けていると指を差されて言われるというのは重々承知しているけれども、それでも先ほど慌てふためいたような感情を覚えていない事だけは確かであった。
「相変わらず、先輩は人の話を聞きませんよね。そういう所、本当に、姉さんにそっくり……」
現に私は異性の胸に顔をうずめているというのに、まるで日常生活を送るかの様な気安さで口を動かしている。
一体これはどうしてなのだろうと少し考えに耽ってみるに……大好きな姉が死んだからこそ、大好きな姉を思い出すような女性らしさに過剰なまでに焦がれ、過剰なまでに避けていたような気がしてならない。
だって、思い出してしまうから。
思い出したら、どうしようもなく辛いから。
辛いと、現実逃避をするように楽しかったあの日を思い出して。
楽しかった姉との思い出を振り返る度に、死んだ姉の遺体を、肉の塊を、姉さんだったものを思い出すから。
姉が死んだって事が噓じゃないって、現実を突きつけられるから。
和奏姉さんは、もうこの世にはいないんだって。
絶対に認めたくない事実を思い出してしまうから。
「う、あ、ぁ、ぁぁ……!」
本当にどうした訳なのか、私は勝手に泣いた。
まるで機械が壊れたように泣いてしまった。
理由は分からない。
本当は分かるけれど、その理由を認めたくない。
私は男の子なのだから、泣いちゃ駄目だ。
泣いたら駄目だ。
泣くだなんて、そんなのは余りにも男らしくない。
だから――何も言わずに、何も見ないように、ただただ私を抱きしめてくれていた彼女の存在が本当にありがたかった。
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