お姉様の処女膜を食べたい ~今日は膣が綺麗ですね編~

「結婚しましょう。私に犯されて妊娠してくれませんか、唯お姉様」


「……は?」


「一目惚れした。大好き。見た目がすっごく性癖にストライク。特に顔と身体がい。性欲という性欲を搔き立てる為だけにデザインされたとしか思えない身体がとってもい! 妊娠して。ねぇ妊娠しなさい? 処女でしょう? ねぇ、処女でしょう貴女! 処女なんでしょう貴女⁉ その綺麗な処女膜置いていきなさい! 唯お姉様の処女膜を私に食べさせて! そして私の子供を孕みなさい! お姉様の顔面にそっくりな美少女を産んで近親相姦に大乱交しましょう唯お姉様!」


「…………は?」


「は行から始まる返事の言葉の『はい』ね。両思いね、嬉しいわね、当然ね。それでは早速初夜しょやりましょう。本日は絶好の青姦日和よ。服を脱ぐ準備は出来てる? 私は出来てる。そういう訳で脱ぎなさい唯お姉様!」


「………………はぁ⁉」


「まさか服を脱がないつもり⁉ レベルが随分と高いわねこの変態! 好き! 私よりも変態な唯お姉様が大好き! そんな唯お姉様の銀髪紅眼を見るだけで私の女性器がそれはもうグチュグチュのグチュ! 大変にエッチね貴女! いいわ、すっごくい! まるで私を興奮させる為に産まれてきたかのようなそんな唯お姉様の見た目がものすっごく性癖にストライク! そういう訳でこの美少女と性交してそのまま妊娠してもいいのよ? ねぇ妊娠しなさい? いいからさっさと妊娠して? さぁ、唯お姉様! ███しましょ! ███! この私、下冷泉しもれいぜい霧香きりかを妹にする権利を唯お姉様に捧げるわ!」

 

 初対面の人間に、それも同性の年上の人間に、何度もセクハラと痴漢を受けてきたこの私を黙らせるほどの迫力と圧倒的性的語彙力。


 間違いなく、彼女は今までに遭遇してきた変態を優に超す大変態であった。


「ご、ご、ご主人様!? へ、変態ですこの人! た、助けっ……⁉」


「――――――?」


 助けを求めるべく、私の近くにいる百合園茉奈に声を掛けたが、その彼女もいきなり現れた下冷泉霧香なる超がつくほどの危険人物にして変態の突飛な言動を前にしてフリーズしていらっしゃるではないか。

 

「フ。あら3P希望だったの? だけど残念、今日は初対面だから2人だけで愛を囁き合いましょう。さぁどうする? 妊娠する? それか妊娠する? それとも……に、ん、し、ん? いいのよ、どちらでも。四の五の言わずに性行為と洒落込みましょう」


「どっちも私が妊娠する事が前提っ!?」


「フ。だって貴女、ズボズボされる側の人間の顔をしてるじゃない」


「指で丸描いて、その丸に指を連続で出し入れしないでくれませんかっ⁉」


「フ。安心して。私はただ性行為のジェスチャーをしているだけ。唯お姉様のメス穴を私の脳内に生えている男性器でアンアン言わせてパンパンさせてそれイけアンアンパンパンマンマンコしてるだけ」


「安心できる要素が微塵もないっ⁉」


 というか! 

 私は!

 男!

 なので妊娠なんて生物学的にも不可能!


 ……とは、口が裂けても言えないっ!

 私の女装事情を知っているお嬢様ならいざ知らず、そんな事を一切知られていない赤の他人にそんな事を言える筈がない!


 だって、今の私は性別を偽ってここにいるのだから!

 性別がバレてしまう事は、私が社会的に死ぬ事を意味してしまうのだから!


「……って、ちょっ⁉ やっ! やだっ! いきなり私の制服を脱がそうとしないでくださいっ!」


「フ。どうしてこんな美少女を前にして制服を脱がないの? 性欲と常識がないの?」


「常識がないのはどう見ても貴女の方ではっ⁉」


「まさか……脱衣無しプレイ⁉ 確かに百合園女学園の制服を着ているのにそれを利用しないだなんて余りにも勿体ないわ……! まさに灯台下暗し! 女性器膣内なか暗し! 貴女の変態レベルが余りにも高すぎてこの私がついていけないだなんて……! 流石は唯お姉様! 好き! 妊娠して! 一生のお願いだから孕ませて! 何なら10回ぐらい貴女を孕ませたい!」


「嫌ですっ! 本当に何ですか貴女⁉ 冗談抜きで警察呼びますよっ⁉」


「フ。セクハラ慣れされている人間ならではの迅速かつ鉄壁の対応。汚れを知らない綺麗な顔をしているのに唯お姉様はもう他人にとことん汚されて警察の方々と肉体関係を持っているのね。……フ。そんなの私の心のアンテナがってしまう。最高。お願いだから私のアンテナから発せられる毒電波で孕んで欲しい」


「ですからセクハラは止めてくださいませんかぁ……⁉」


「フ。今の発言のどこがセクハラになるのかしら唯お姉様。無学な私にも分かりやすいように具体的に教えて下さらない? 私の発言のナニが男性器を彷彿させるですって? ほら。ほらほらほらほら! 孕めホラァ!!!」


 全然知らない美人の女の子に詰め寄られてしまうというシチュエーションに、少しばかりの憧れがなかったとは断言できない。


 だが、それは傍目から見る分には楽しいのだろうけれども、当事者になればとても恐ろしいモノに早変わりするのだと私は思い知らされていた。


「フ。流石にこれ以上のセクハラは流石に止めときましょうか。ごめんなさい、唯お姉様。今のは次の演劇で演じる男役。私は演劇部……それも部長なものだから初対面の人の反応を知りたかっただけなの。不快な思いにさせてごめんなさい」


「そ、そうですよね! ほっ……それなら良かった。今のが先輩の素のキャラクターなのかと」


「フ。素よ」


「…………は?」


 何か我ながら素で冷たい声が出てきてしまった気さえするのだが、当の彼女は至って平静であった。


「フ。どうして本気で信じているのかしら? 今のは処女膜を破瓜させた時に出てくる鮮血のように真っ赤な嘘。素の私はセクハラ大好きな超絶清楚な美少女なの。だって苗字が下冷泉よ。下冷泉のは下ネタのよ。由緒正しき旧華族の下冷泉の苗字が美少女を同じ苗字にするように孕ませろと囁くの。安心しきった唯お姉様の表情に絶望の色を加えさせるの最高に楽しいわ。楽しすぎて女性器から愛液が垂れてくる」


「……嘘、ですよね……?」


「フ。今の私はノーパンだからスカートの中がグチョグチョよ。それでもこの情欲は本心。私は貴女の身体が好き。見た目が性癖にぶっ刺さって大好き。だから私は貴方を犯したい」


「どうして初対面の人にそんな最低な事をやろうと思うんですかっ⁉ どういう頭してるんですかっ⁉」


「フ。私は唯お姉様に一目惚れしてしまった。おかげ様で唯お姉様の事しか考えられない頭にさせられた。一途でしょう? そういう女の子は統計学的にも好きでしょう? そういう訳で恋に落ちてもいいのよ? 恋人が出来た所為で学校の講義で出なくなった大学生カップルのような爛れた日々を一緒に送り続けて永遠に下冷泉家の親のすねをかじって生きていきましょう」


 何だろう。

 この人は間違いなく愉快な人なのだろうけれど、話をしているだけでもごっそりと体力を奪っていく類の愉快な変人だった。


 他人事として遠くから見る分には何ら問題はないけれども、いざ彼女に当時者として関わる分にはごめん被るとしか言い様が無い類の変態だった。


「フ。そういう訳で改めて自己紹介。私の名前は下冷泉しもれいぜい霧香きりか。百合園女学園の高等部3年生の演劇部部長で見ての通りの純粋無垢な美少女。そして処女。そしてノーブラ&ノーパンの床上手。これは好きになる要素しか詰まっていない清楚系美少女の評価待ったなし」


「……まさかの先輩……? コレが……? ……私より一学年上……? ……こんな常識に欠けているとしか思えない生命体が……⁉」


「あぁ……! 唯お姉様からそんなありえないモノを見るかのような視線で見られると……あっ、孕む……! そして産まれる! 私と唯お姉様の想像性交で出来てしまった愛の結晶が! 孕むオラ! 孕むオラ! 京都育ちのオラが東京の美人に孕まされる! うっ! 産まれるっ! オラと唯お姉様の子供が産まれるっ! 何を棒立ちして私の貴重な産卵シーンを見ているの⁉ 唯お姉様も産卵なさい! 今すぐ! 想像出産プレイはめちゃくちゃ気持ちいいわよ⁉」


「あの、下冷泉先輩、でしたか」


「フ。貴女に想像妊娠させられて想像出産させられて貴女の新妻になった下冷泉霧香よ。何かしら? 私を孕ませた責任を取ってプロポーズでもするつもり? 賢明な判断としか言いようがない」


「全然違います。お願いですから人の話を聞いてください。私は質問をしたいだけなんです」


「フ。3サイズの質問? あらやだ変態。B87のW57にH88よ。聞いたわねこの変態。これは責任を取って結婚するしかないわね。私は全く不束者ではないけれども宜しくお願いするわね」


「そんな事は本当に全く聞いてません」


「フ。じゃあ何? 私の生理予定日? フ。そうだと思った。そんな変態的過ぎる事を言う訳がない……そう思わせておいて! 馬鹿ね! 教えてあげる! そして教えてアヘるわ! 私が! アヒィィィ!!!」


「……先輩はどうして私の事をお姉様って言うんでしょうか? 話を聞く限り、私は先輩よりも年下の筈なのですが」


 お姉様。

 本来であれば自分よりも先に生まれた存在に対する敬称であるのだが、生粋のお嬢様学園である百合園女学園においてはその言葉の持つ意味が変わってくる。


 早い話が、自分よりも年上の女子生徒であれば血縁関係がなくてもお姉様と呼称するのがここ百合園女学園の暗黙の了解だと小耳に挟んだ事はある。


 そういう訳で私は愚かにも、その疑問をこの常軌を逸した日本語みたいな言語で喋り続ける変態に聞いてみた。


「フ。直感。私の全細胞が貴女の妹になりたがっているの。それ以外の理由がある? 無いに決まっているでしょう。人間という生き物は性欲で文明を発展させたのよ?」


「……性欲って……最低ですね……」


「フ。褒めないで。唯お姉様に褒められると余りの嬉しさに絶頂してしまう。私を褒める度に絶頂させる女の子に調教するつもりね、この変態」


「……全然褒めてません……先輩はすっごく気持ち悪い直感と細胞をなさってますね……」


 どうやら彼女は本能に従って生きているタイプの人間らしく、彼女にとってのお姉様とはどうにも概念的な存在であるらしい。


「――はっ。し、下冷泉先輩……! 我が学園の生徒であるのなら、そのような下品な言動は止めるようにと何度も僕は言っているだろう……⁉」


「フ。我を取り戻したのね茉奈さん。折角愛する唯お姉様と性交後の余韻を楽しむピロートークをしていたというのに……私から唯お姉様を寝取りに来た訳ね! 良いわ、受けて立ってあげる! この私、下冷泉霧香から唯お姉様の本妻と愛人ポジションを奪えるものならね!」


 先ほどから不動の姿勢のまま、目と口をぱくぱくと開け閉めしては理事長の椅子に座っていた百合園茉奈だったが、我を取り戻した彼女は顔を思い切り赤面させてはセクハラに対する注意喚起を下冷泉霧香に対して投げかけていたが、当の本人は涼しい表情のまま聞き流している始末。


「フ。そう怒らないで茉奈さん。普段からアポなしで貴女の部屋に突撃する私でも勝手に鍵を作らなかったり不法侵入をしない程度のモラルはある。実際問題、学園内の私は成績優秀かつ品行方正だと思うのだけど。違って?」


「それは……そうだが……! いや、本当にそうだけど……! どうして学内ではあぁなのに僕の目の前の時にはその態度なんだ……⁉」


「え、嘘。ちょっと待ってくださいご主人様。この人、本当に学内では真面目なんですか? こんなのが? 嘘でしょう?」


 初対面でもどうしようもない人間だという事しか分からない下冷泉霧香が学内では普通に真面目であるという事実が私にはどうしても理解できなかったし、想像もできなかったのだが、そんな僕に対して下冷泉霧香は勝ち誇るような薄笑いを浮かべながら答えてくれた。


「フ。要するに私がそういうとして女子生徒に接すればいいだけ。私ね、善人を演じて純粋無垢な女の子を騙してエッチに少しずつ調教させて私無しでは生活できないような変態に育成するのが性癖なの」


「小賢すぎて本当に最低ですね」

 

「フ。褒めてくれて私はとても嬉しい。特に唯お姉様の有り得ないモノを見るようなその視線がとてもいい! 気持ちいい! 幸せ! ドMに産まれてきて良かった! サディストの唯お姉様に調教される学園生活を送れるだなんて私はなんて幸せ者なのかしら! 嬉しすぎて第2子を孕んで産んでしまう! 祝いなさい! 貴女の子供の誕生を! ウッッッッ!!!」


「……まぁ、何だ……。これが百合園女学園の高等部3年生1番の美人と噂される下冷泉先輩だ。何だかんだで私と合わせて学内2大美女だと周囲の女子生徒が勝手に言っているが……聞いて分かる通り、彼女は変態だ」


「フ。こと美貌に関して言うのであれば、私の膣内なか射精るモノはない」


「気持ち悪いのでそういうのは右に出してください。無いんですか常識」


「フ。精液を右にドピュドピュ射精すだなんて唯お姉様は避妊意識がお強いのね!」


 どうにも彼女は私から侮蔑の視線で見られるのがとてつもない程に嬉しいらしく、両頬を恋する乙女のように赤らめている始末であり、本当に救いようが無い変態だった。

 

「……本日はどういう目的でやってきた? 演劇部の部費についての件は以前に話したように増やすつもりだと言っておいた筈だが」


「フ。部費の話じゃない。今日は演劇部関係で来た訳ではなくて、余りに暇だったものだから茉奈さんで遊ぼうと思って来ただけだったのだけど……フ。とんだ掘り出し物だわ。涎と性欲に愛液とムラムラが止まらない。今日この瞬間だけで私のイマジナリーベイビーが2人も増えた。私そっくりの黒髪の美少年と唯お姉様そっくりの銀髪の美少女よ。そろそろ日本国家から出産育児一時金が振り込まれるのも時間の問題ね。出産育児一時金だけで一生分の生活費を稼ぎましょうね、唯お姉様」


 本当に嫌そうな表情を浮かべている百合園茉奈とは対照的に、奇天烈極まりない変人である下冷泉霧香は四つん這いの状態で私の表情を覗き込んでは薄笑いを浮かべている……どころか、私の脚まで近づいては黒タイツをくんくんブヒブヒと匂っている始末である。


「ブヒヒ……あっ、やばっ……匂いだけで余裕で孕む……フヒッ……まだよ……まだアヘっちゃ駄目……!」


 なんだ、この人。

 本当にメス豚であらせられるのか、この変態。


 だが、彼女が高校3年生という事実はある意味では吉報かもしれない。


 というのも、この変態と私が出会ってしまったのは全くの偶然……何とも質の悪い事故のようなもの。


 もしも仮にこの変態と同じクラスだとか同じ学年だとすれば、学校であんな変人っぷりを周囲に披露させられるものならば私は間違いなく奇異の視線に晒される訳だから、そういう意味で考えるのであれば周囲に人がいない今のタイミングで彼女に遭遇したと考えれば、逆にタイミングが良かったと思うべきだろうか。


 ……いや、でも彼女は確か学校では品行方正な優等生というキャラで通しているのだったか。

 

 そう考えるのであれば、先ほどの仮定の話はさほど意味がなくなる。


 何せ、彼女が私よりも一学年上の先輩という立ち位置である以上、学校生活で彼女と関わる機会なんて滅多に無い筈なのだから。


「そうか。なら話す内容はもうないな? 帰ってくれ。死ねとは言わないから消えろ。頼むから僕をこれ以上不愉快な思いにさせるな。先輩と話すといつも常備している胃薬が無くなって仕方が無いんだ……!」


「フ。そこまで頼まれたら仕方ないわね――と、以前の私なら答えていたのでしょうけれど、唯お姉様から直々にメス豚調教を施された天使ブランドのメス豚にして、顔面国宝超絶天才演者にして1000年に1人の美少女メス豚である私はそう答えない」


「頼むから彼女に、唯に、この学園はおかしいのではないかと思わせないでくれ! 彼女は今日から百合園女学園に所属するだけでなく、女子寮を利用する手筈になっているんだぞ⁉ 百合園女学園の厳格なイメージを先輩の所為で損なわせるのは本当に勘弁してくれお願いだから!」


 もしも視線に殺傷能力があったのなら、お嬢様の視線は人を余裕で殺せていたのだろうけれど、残念ながら変人である彼女に対してはノーダメージどころか逆に回復させている始末。


「――フ。なるほど、女子寮」


 そして、当の変態は底知れない不敵な笑みを浮かべていた。


「フ。1つ要件が出来てしまった。理事長代理である茉奈さんに問い合わせるべき案件が」


「……な、何だ……?」


「フ。


「――は?」


「だって、唯お姉様がいらっしゃるのでしょう? であれば妹である私も入寮して唯お姉様から直々に調教して頂くしか選択肢はない。それに私は学内では品行方正で真面目で優秀で優等生にして模範生にして超絶美少女。学校側からしてみても断る理由なんて無いわよね」


 そんな常人ではとても理解できない思考回路から繰り出される下冷泉霧香の言葉を耳にした私の主人である百合園茉奈は「おなかいたい」と泣きそうな声を出しては、腹を両手で抑えながら崩れ落ちたのだった。

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