第66話

「ガ…アァ…」


「観念しろ。人の男の腕を飛ばしておいて、逃げられると思うなよ。」


 ルルが輪廻の腕に手錠を…


「……ククク…」


「何がおかしい!!」


「即死の呪いはあらかじめ呪いの魔力を対象に忍ばせ、自らの命と引き換えに好きなタイミングで発動させることができる。」


「それがどうし…」


「私が即死の呪いをかけている人間はあと2人、私の固有スキルで乗っ取れるのは死体のみ。」


「まさか!!」


「私はあと3回、死ぬことができる。」


__バギィ!!


 上半身だけの輪廻は魔法のようなものでルルの顎を強打し、彼女を無効化させる。


 そしてまた手の甲の紋章を輝かせ…


「一度ここから離れよう。〈即死の呪い〉[魂]は…」


 呪いが仕込まれている人間はあと3人、おそらくは速天と医天の事だろう。


 速天と医天、呪天はどちらも遠くの牢獄に…


 こいつはおそらく、牢を破壊して出ることができる。


「ルルさん!!そいつ、逃げるつもりだ!!」


「【輪廻】する!!」


 逃げられる!!ここまで追い詰めたのに!!


 医天か速天か呪天かは分からないが、どれかに乗り移った。


 まずい、牢が壊されるどころかその町が破壊されるぞ!!


「フッ、アハハハハ!!」


 こんな危機的状況なのに、父が笑った。


「親父?」


「簡単に逃げられると思うなよ、輪廻、医天と呪天はベルの約3日間にわたる解呪の儀式によって呪いの魔力が取り除かれている。何故か解呪ができなかった速天は今、目の前にいる!!〈魔法解除〉!!」


 その瞬間、速天が入った檻が現れた。


 どうやら透明魔法で隠されていたらしい。


「……この対策、まさか山田賢太郎、貴様、知っていたな!!ということは、水凪巧、近くにいるのか!!」


「もういないさ。今はお前から王族を守っている。」


 速天に乗り移った輪廻は檻を壊し、外に出る。が


「体が思うように動かない…!!」


「速天にはしばらく自由に好きなように生活してもらってね、案の定、ダメ人間になったよ。」


「……やはりお前は…」


 輪廻は父の首を掴み、持ち上げた。


「アガッ…俺は義足が折れて戦えない。ボブは欠損、リリルは元から、ルルもさっきので気絶、ベルはボブの治療で転送…後は息子たちに託す。速天が身に着けていたこの立派なローブ、神器だろ。貰うぞ【魔力変換】!!リンタロー達、受け取れ!!」


 その瞬間、俺達の体力と魔力は回復し、傷もたちどころに治る。


 父は自分の全魔力をこれに注ぎ込んだためか、意識を失った。


「【ショット】!!〈トランスファー〉!!」


「〈フレイム・ハリケーン〉!!」


「【スリングショット】!!」


「【龍焔】!!」


「【ショット】!!〈ボルテックス・リング〉!!」


 ありがとう親父、この魔力、使わせてもらう!!

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