第63話

「親父!!大丈夫か親父!!ビルト!!プリーストを!!」


 思ったよりも大変な状況だ。


 父が攻撃をもろに喰らった!?


 そんな馬鹿な……


「あぁ、リンタロー君。やっぱり君は、私の能力の一部として利用することにした。」


「一部?」


「そう、私の能力は“輪廻”だからね。他者の能力を手に入れることも可能なんだ。私はそうやってここまで生きてきた。」


 能力を奪う固有スキル…


「リンタロー…よく…見ておけ…」


「よせ、山田賢太郎、お前にはもう攻撃手段は残されていない、これで終わりだ。[エネルギー]は…」


「<チェンジ>」


 父がチェンジと叫んだ瞬間、リンネの手の上にあった光の球はただの葉っぱに変わり、父の手にはリンネの光の球が乗っていた。


「熱ッ!!手が焼けた!!」


 こんな状況で何を…


 まさか…


「いいだろう、山田賢太郎、よほど死にたいようだな。その手では銃も持てまい、聖剣:雷切…」


 このためか!!


 俺はとっさに土を握った。


 そして父の首を断とうとしているリンネが持っている刃に手をかざし、叫ぶ。


「<チェンジ>!!」


 俺の手の中にはリンネがそれまで持っていた聖剣があった。


 この聖剣、普通の聖剣とは少し違うような…


 この世界には存在しないはずの魔力の流れをつくり出している…


 つまり、この聖剣はこの世界のものではない…


 なんでもいい、今は!!


「リンタローか、親子そろって厄介だな!!その聖剣を返してくれれば殺さないでや…」


「【魔力変換】!!」


__バチバチバチ!!


 とたんに俺の体が雷を纏う。


「返してやるよ!!」


 体に力がみなぎる。


 拳を振るうだけで相手に雷を纏った一撃を与えることができる。


「ジェナ!!受け取れ!!」


「はい!!」


 魔力を拳の中で圧縮し、ジェナの斧にぶつける。


「電撃魔法〈エレキ・アックス〉!!」


 紫色の閃光とともに大きな爆発が起こる。


「やるなぁ゛…魔剣:ムラマサ【あやかしノ太刀】」


 まずいっ!!


「グルルルルル…【狂獣変化:怨霊ゴースト・解放】【呪腕】!!」


 ヴァンの腕が青く光っている…


「ガハッ……なんだ、殴られた場所に力が入らない…!?」


「【ショット】!!」


 今なら、いける!!


「銃弾に当たった…まさか!?」


『スキルの発動条件が満たされました。』


スキル発動!!」

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