第62話
商店街から少し移動すると、もう既に乱闘が始まっていた。
その乱闘の中には王都の騎士団も参戦いるのが分かる。
「「「全ては魔王様の復活のために!!」」」
昔、魔王と人類が戦っていた時代、人間の中にも魔王信仰者は一定数いたそうだ。
魔王が討伐された後、彼らの思想はカルト宗教として広まっていった。
それを利用するように生まれたのが魔王再臨軍だ。
「ジェナ、これ、鎮められるか?」
「やってみます。〈エレキ〉!!」
ジェナは地面に手を置き、電撃魔法を放った。
瞬間、乱闘に参加していた人間は皆、倒れて痙攣を始めた。
「できました…よ?」
「ジェナお前…俺達の事も…考えてくれ…」
「私たちも地面に立ってるんだから…」
俺とビルトとヴァンも巻き込まれた。
その時、遠くのほうから爆発音が聞こえた。
ジェナが縄で再臨軍の奴らを縛り終えたら向かおう。
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「輪廻、この前はよくも逃げてくれたな。おかげで壊れた店の建物代、全額自腹だったじゃねーか。」
「7代目勇者、山田賢太郎。私は君とは戦いたくない。君と戦うと気分が悪くなる。」
「奇遇だな、俺も戦うってなると腹が痛くなるんだよ。」
今度こそとっ捕まえてやる。
あの時のこいつの死体を回収した女はリンタローとジェナが警察に突き出した。
「四天王のうち捕まった3人は既に王都の牢に入れられているんだろう?」
「あぁ、そうだな。場所は言えないが、ここにはいない。」
「それならいい。」
「そうか、【ショット】!!〈トランスファー〉!!」
俺は何の前触れもなく、拳銃を取り出して撃つ。
『スキルの発動条件が満たされました。』
「
「姑息だな。」
__ズドン!!
爆破…まあ、無傷だけど…
「前回から強くなったな。お前、何をした?」
「君の息子が捕まえた四天王、医天アーツトの能力だ。」
医天アーツト…なかなかやるな。
「君には前回痛い目に遭わされたからね。本気で行こう。[エネルギー]は【輪廻】する!!」
すると輪廻の手の上に金色のエネルギー弾のようなものが現れる。
そしてその弾は俺に向かって飛んでくる!!
「【
とっさに発動したこのスキルの性能は、初見の攻撃のダメージを3分の1に抑え、3分の2を自分の持つ一番強い武器に肩代わりさせるというもの。
__パァン!!
俺の場合は使い古した魔法の杖のかけらが武器だと認識されてそっちにダメージが流れる。
なるほど、こいつの攻撃、魔王に比べたらだいぶ弱いな…
やっぱ魔王の攻撃を受けて立ってた俺すげえわ。
もうそんなことできないけど…
「そのスキルは知ってる。[エネルギー]は【輪廻】する!!」
ほう、初見じゃない攻撃を本命とした攻撃か。
さて、どうやって流そうか…
…………。
手詰まりだ。
あぁ、そうか。
ここまで生きてこれたのは奇跡みたいなものか…
「親父!!避けろ!!」
俺の目と鼻の先までエネルギー弾が近づいたとき、横から息子のパーティーがやってきた。
しかし、今誰が来たとしても未来は変わらない。
俺はここで吹っ飛ばされて行動不能になる。
今が世代交代をするタイミングなのかもな…
後は託した。
そう心でつぶやき、俺はエネルギー弾に身を任せた。
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