命を輪廻に乗せて
第61話
「おはようございます。リンタローさん。」
昨日の夜は情報量が多かった。
「おはよう、ジェナ…」
今日の朝も情報量が多いらしい。
「ジェナお前、なんで顔真っ赤にして恥ずかしがりながら俺の下腹部にまたがってんの?」
「いや、これは…その…」
「待てよ?昨日のトイレであの会話をした翌朝にこんな行為に及ぶってことは…誘っ…」
「さ、誘ってませんからああああああ!!」
ジェナは耐えきれなくなってどこかに行った。
それはともかく、こちらにいい匂いが漂ってくる。
匂いを辿っていくと、ヴァンのところにたどり着いた。
「おはようヴァン、今日は…」
「お、リンタローおはよう!!どうだった?ジェナの寝起きドッキリは!!」
犯人お前かよ。
「おかげですぐ目が覚めたわ。で、これは…」
「これはディマリプの郷土料理、“ディマリプ・バナヴォール”バナナと鶏肉を特製のソースで焼いた一品よ!!」
朝ご飯が楽しみだ。
「「「いただきまーす!!」」」
「どうぞ召し上がれ~。」
うまい、何だこのソースは、バナナと鶏肉の味をしっかりまとめている…
これから定期的に作ってもらお…
「よし!!朝飯食った!!準備OK!!いざ!!海へ!!」
行こうとしたその時
ヴァンの親父さんが走ってきた。
「היי! ! א בריוו איז אנגעקומען פאר דיר! !」
「ヴァン?」
「私たちに手紙だってさ。דאַנקען דיר טאַטע」
その手紙の内容は恐ろしい物だった。
“リンタロー、ジェナ、ビルト、ヴァンへ”
“リンネに禁断魔法の書が盗まれた。”
禁断魔法とは、この世に存在する、多くの人を一瞬で死に至らしめることができ、かつ、防ぐ策がない3つの魔法のことを言う。
3つの魔法とは、魔法陣の中のものを全て無に還す“白紙魔法”と一度に50万人を殺した記録のある“虐殺魔法”そして俺の母親が生み出した、唯一正義のために使われた魔法“彗星魔法”の3つだ。
これのどれかが盗まれたわけだ…
さらにリンネは大軍を引き連れてエッグタウンに向かっている途中らしい。
「ジェナ、ビルト、ヴァン…」
俺達はせっかく来たディマリプを出ることにした。
「ヴァンのお父さん、行ってくるよ。」
「『וואנס פאטער, מיר גייען אהיים.』דאָס איז וואָס דער מענטש זאגט.」
俺達がそう言うと、親父さんは地面に杖を突きさし、魔法陣を展開した。
「マタ、キテネ。」
この魔法陣は、転送魔法だ。
——————————————
町に戻ってきてしまった。
せっかく楽しもうと思ってたのに。
俺達は装備を整え、戦場に向かう。
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