第60話

「フルーツうめ~!!」


「リンタローさん!!パイナップルの甘みが違いますよ!!」


「バナナもすごく甘い!!」


「そうでしょうそうでしょう!!」


 まあ、トイレを除けば良いところかもな…


——————————————


「風呂だーーー!!」


 白く濁っている…何かしらの効能がありそうだ。


「おいリンタロー見ろよ!!あの子、タオル巻いてないぜ!!」


「それどころかタオル巻いてる人いねえよ!!すげえ!!これ天国か!?」


「温泉は神の贈り物。汚れた布を付ければ袋叩きに遭うわよ。」


 ヴァンが…


 まだ湯に浸かってないのにのぼせそう。


 マジかよ…


 だから地元の人っぽい人しかいないのか…


 とりあえず腰に巻いているタオルを外して風呂に浸かることにした。


「おーい!!ジェナもこっち来いよ!!」


「わ、私は…」


「עס איז אַ קיוט קינד! !」


「な、なんですか!?」


 ジェナはその場にいた女性によって風呂に引きずり込まれた。


「ジェナってあんなにデカいの?」


「そうだ。」


 俺とビルトはトイレに駆け込んだ。


——————————————


「ふぃー、遊んだ遊んだ。」


「明日は海で遊ぼうぜ!!」


「いいですね!」


「私も賛成よ!」


 俺達は初日だというのにもうすでに遊び疲れ、倒れるように眠りに就いた。




 どれくらい眠っていただろうか…


「リンタローさん、リンタローさん!!」


 ジェナの声が聞こえる…


「リンタローさん!!早く起きてください!!」


 まるで危険を知らせているような声…


「なんだよ…どうしたんだよ…」


「トイレ…行きたいんですけど…」


 緊急事態だ。




「急げ!!走れ!!ジェナ!!」


「そ、そんなこと言われても…私、もう…」


「しょうがねえな!!浮遊魔法〈フロート〉!!」


「ひ、ひゃ!!ちょっと!!あとちょっとでパンt…」


「んなこと言ってる場合じゃねえだろ!!」


 俺は魔力が切れては回復して切れては回復してを繰り返し、走り続ける。


「なんで本人より焦ってるんですか!!」


「俺、お前が漏らすとこ見……少し見たi…んっん!!処理が大変だろ!!」


「今なんて言いました?」


「お前に漏らされると処理が大変だって…」


「その前ですよ。私が漏らすとこ、少し、何ですか?」


「あ?ごめん!!走ってるから聞こえない!!」


「どういうことですか!!」


「走るのに集中してるからってことだよ!!」


「聞こえてるじゃないですか!!」


——————————————


「リンタローさん、いますか?」


「いるよ。背中は任せとけ。」


「あの、私、今しゃがみながらするの凄く恥ずかしいんですが…後ろなら絶対お尻見えてますよね…」


「お前の方は見てないから大丈夫、そもそも、お前の裸何回見てると思ってんだよ。」


「ちょっと待ってください、1回ですよね?マジックリニアでの行為の時以外あなたに裸を見せた覚えはありませんが…」


 実際の回数は聖堂から帰った翌日の風呂と、昨日のリニアの中での一件、本人は気付いていないがさっきの混浴温泉合わせて3回だ。


 こいつ、ガルドの能力で聖堂から帰った翌日一緒に風呂に入った記憶は消えてんのか…


「まあ、細かいことは気にすんな!!」



「なんですか!?まさか私の寝てる間に…」


「何もしてねえよ!!もしそうなっても俺の姉ちゃんの指輪があるだろ!!」


 指輪の件は昨日のリニアでの一件の時に話した。


 まあそんなことだろうとジェナは言ってた。


「……そうですか。まあ、別にいいですけどね。恥ずかしいけど…」


「お、おう…」


 ここで、俺が気になっている事について聞いてみることにした。


「ジェナ、俺達の関係ってどんななの?」


「今します?その話…私、用を足している途中なのですが…」


「はい、すいません。」


「まあ、一応答えると、私たちの関係は今のところは友達以上、恋人未満…そんなところでしょうか…まあ、私は恋人がいいですが。」


 なんともまあふわっとした関係だこと…


 一応することはしているわけだし、恋人でもいい気がするんだが…


 ってか、本人が恋人がいいって言ってるし……


「じゃあ、」


「あ、ここで「じゃあ恋人にならないか」とか言わないでくださいね。さすがにトイレ中はムードが無いので。」


「すいません。」

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