第59話
「今日のお昼ごろに到着予定だそうよ!」
翌日、朝ご飯は4人そろって食べていた。
「そういえばヴァン、ディマリプの特産品って何がある?」
「そうね…やっぱりフルーツかしら…海と接しているから海産物もおすすめよ。あと、昆虫食も人気ね。食べ物以外なら…土器とか…あと石器が人気だわ。」
「……俺の聞き間違えじゃなければ、今言った中に昆虫食があったような…」
「あるわよ?バッタとかカマキリとかセミとか…」
「うまいの?」
「うまいも何も、主食だからね。」
マジかよ…
「泊まる場所はどんなところなんですか?」
「私の実家よ。寝るときは雑魚寝ね。」
まあ、冒険者らしくていいか…
「まあ、トイレに仕切りはないだけどね…」
おい。
「体はどこで洗うんだ?」
「海に行けば大きな温泉が湧いてるわ。そこで体を洗うのがいいわね。」
「おう、分かった。」
「あ、言い忘れたけど、温泉は混浴だから。」
「「混浴!?」」
俺とビルトは抱き合って喜んだ。
「混浴ですか…」
ジェナは少し複雑な表情をしていた。
「〔ディマリプ~ディマリプ~お降りの方は忘れ物の無いようご注意ください。〕」
「うおおおお!!エメラルドの海、純白の砂浜、サイコー!!」
「リンタローさん、テンション高いですよ~?」
「これすげえな!!浜辺がこんなに白くなることあるんだ!!」
「さあ、さっそく私の集落に案内するわ!!」
「エー、イツモ、ウチノ…」
「טאַטע, איר קענען נוצן דיין געוויינטלעך שפּראַך.(お父さん、いつもの言語で良いよ)」
「דאנק איר פֿאַר שטענדיק זאָרגן פֿאַר מיין טאָכטער」
「『いつもヴァンディアをありがとう』って言ってるわ。ちなみにこの人は私のお父さん、ヴォルディスよ!」
「איך הער אז איר וועט בלייבן דא איבער א וואך פון היינט.」
「『今日から一週間以上ここで過ごすようだね』って言ってるわ。」
「ביטע קומען און אָפּרוען」
「『ゆっくりしていってください』って、言ってるわ。」
「ありがとう。」
「『אָפּשאַצן』דאָס איז וואָס דער מענטש זאגט.」
ヴァンの通訳が終わると、ヴァンのお父さんはニッコリと笑ってどっかに行ってしまった。
「よし、みんな、今日泊まる部屋に案内するわ。」
ジェナはそう言うと俺達を森の中の沼の隣に建てられた木製の高床式の家に案内した。
家には階段と床を持ち上げる大量の柱と普通の柱床と屋根しかなく、大変風通しの良いものとなっていた。
「おいジェナ、トイレは…」
「ん?ああ、階段を下りて…」
外に設置されてる感じか…
「この沼の反対側…」
ん?なんか遠くないか?
「に建てられた建物の…」
あ、でも建物の中に…
「その裏の獣道を道なりに行ったところに木の板で蓋をされてる穴があるからそこで用を足すことね。あ、あと、1人で行っちゃだめよ?誰かに見張っておいてもらわないとモンスターに食べられちゃうからね。」
………ん?
「ちなみにその穴に水って溜まってる?」
「溜まってるわけないでしょ?ここは世界で一番自然を大切にする民族が住む森よ。水道なんて引くわけないわ。」
「紙は?」
「紙?そんなに文明は進んでないわよ。沼の向かい側の建物が人力シャワー室になってるわ。そこで拭くことね。」
オワタ…
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