第58話

 遡ること10分前…


「ビルト、起きて。ビルト。」


「んん…なんだようわあああ!!ヴァン!?」


 私がビルトにまたがって起こすと面白い表情で驚いた。


「静かに、今日明日は私とビルトでこの部屋で過ごすわよ。」


「なんでだよ…」


「今、ジェナちゃんとリンタローがいい感じなの。」


「分かったぞ?だからあの2人を同じ部屋で寝泊まりさせて、もうカップルを成立させてしまうってことか!!」


「分かってくれてうれしいわ。でも、リンタローはきっと、この部屋に戻ってくる。」


「そしたら?」


「多分私は追い出されるわ。するとせっかくの計画が台無しになってしまう。」


「どうするんだよ。」


「そこで、追い出せない雰囲気をあらかじめ作っておくの。」


「追い出せない雰囲気って?」


——————————————


「ごゆっくり~」


「どうしようヴァン!!これ絶対誤解されてる。」


「誤解じゃないわよ。」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「…………。」


「…………。」


 …………。


「おい外見てみろよ!!タイリククジラが潮吹いてるぜ!!」


「ほ、ほんとだ!!」


 …………。


 いや気まずい……


「リンタローさん!!ボードゲーム持ってきました!!一緒にやりましょう!」


「お!!いいね!!」


 2分後


「王手…」


 待って、ジェナ、ボードゲーム弱すぎないか?


 もっと頑張れよ!!


 すぐ終わっちゃったじゃねえか!!


「…………もう気まずいのの終わりにしましょう!!返事を待つと言いましたが、やっぱり待てません!!リンタローさん!!あなたは、私のことが好きなんですか!?」


「ジェ…」


 ジェナは俺の肩を掴み、倒す。


 押し倒された…


 体を起こそうにも、ジェナの力が強すぎて起き上がることができない。


「どうなんですか?」


「俺は…」


 隣の部屋から凄い声が聞こえるんだけど…


「ちょっと待ってくれ、こんな俺だってできるだけカッコつけて返事を…」


「待たせてる時点でカッコついてませんよ?」


 ……。


「ごめんなさい。」


「……それで、どうなんですか?」


「俺は、好きだよ。」


「それなら良かったです。」


__チュ…


 ジェナは俺にまたがったまま口づけをして…

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