第55話
「おい、リンタロー、今夜、ジェナとヴァンの部屋、覗きに行こうぜ?」
「嫌だよ、あの2人戦士職だろ?俺まだ死にたくねえよ。特にヴァンは怒らせたら大変なことになりそうだし…ってかそもそも覗けないだろ。」
車両に乗り込み、出発して早々、部屋でビルトは俺にそう言ってきた。
「おいリンタロー、俺が誰か忘れたのか?俺は“スリングユーザー”最弱職とはいえ、一応は狙撃を得意としている職業だぞ?」
「それがどうし…お前まさか!!」
「フフフ、“壁が透けて見えるスコープメガネ”買っちゃいました!!」
“スコープ眼鏡”それは、狙撃をするため遠くを見なくてはならないときに装着する、遠距離攻撃職専用アイテム。
遠距離攻撃職専用アイテムのため、スリングユーザーであるビルトが買っても怪しがらない。
「ビルト、さっきまでの意見を変える。今夜、決行だ!!」
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「で、なんでこれが出てくるの?」
あの後、ポケットにスコープを入れたままトイレに行ったビルトが廊下でそれを落とした。
そして拾っている姿をヴァンに見られ、現在、ビルトはヴァンに怒られている。
「リンタローは本当に関係ないんだね?」
「おいおい、いくら何でも疑いすぎだろ。さすがの俺でもそこまではしねえよ。」
「おいリンタロー!!俺とお前との絆はそんなもんだったのか!?おい!!リンタロー!!リン…」
「ヒッ!!」
ヴァンはビルトの後頭部を打ち、気絶させた。
だから言ったのに…
「Zzzzz...」
その晩、ビルトは気絶してからまだ起きていない。
俺はビルトが気絶してからずっと昼寝していたからか眠れなくなってしまった。
暇な俺は椅子だけがある共有スペースに行って夜空を見ることにした。
「リンタローさん…」
そこにはジェナの姿があった。
「お前も寝れなかったのか?」
「いえ、そういうわけではなく、ただ、夜空を見たかっただけです。」
「そうか。」
俺はジェナの隣に座ってみたが、なんだか恥ずかしくなったのでその場から…
「その、少し話しませんか?」
袖をつかむのは反則です。
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