バカンスを楽しめ!!

第54話

「こんなのでたらめだ!!新聞社に…痛った…」


 アーツトの不治魔法の後遺症が…


 警察署に行った後、教会で不治魔法をどうにかしてもらったのだが…


『治癒魔法で不治魔法は解けましたが、傷は治すことができませんでした…』


 ということで俺は自力で傷を治さなくてはならなくなった。


 今俺の腕には包帯が巻いてある。


「大変だなぁ…まあ、自力で治せる傷で良かったじゃないか。」


「まあな、出血多量で死ぬよりかはずっとマシだ。」


 俺達がそんな話をしていると、ジェナが駆けてきた。


「すいません!!どれくらい待ちました?」


「そんな待ってないから大丈夫……」


 ジェナは黒い半袖のワンピースを着ていた。


 髪の毛はいつもは下ろしているのに今日はポニーテール。


 普段はあまり見る機会のないジェナの私服…


「どうかしました?」


「い、いやなんでも…」


 露出は少ないのにえっちだなんて死んでも言えない。


「おいリンタロー、顔紅いぞぉ?」


「うるさい!!そういえばジェナ、ヴァンは?」


「分かりません。家が反対方向なので…」


「おっけ、じゃあもう少し待つか。」


 ディマリプまでの行き方は、まずは馬車で海まで行って乗り換える。そこからは大陸の海沿いを走る“マジックリニア”という乗り物に3日ほど乗ってディマリプに到着。という感じだ。


 マジックリニアという乗り物は俺の父が考えた乗り物で、海と太陽光から魔力を吸収。人々を乗せた変な形のコンテナが宙に浮き、恐ろしいスピードですっ飛んでいくというもの。


 海から魔力を吸収できない内陸地では現在、“デンシャ”という乗り物を作って王都まですぐに行けるようにする計画が進んでいるらしい。


 一体どんな人生を歩んできたらこんなの思いつくのだろうか…


「ごめーん!!遅れた~!!」


 ヴァンは対照的に白いシャツにジーンズを穿いている。


 胸の大きさがよく分かるファッションだ…


「リンタローさん?」


「いや、なんでも…」


 行くか。




 馬車に乗り、海まで走る。


 移り変わる風景と新鮮な空気…


 隣に座るジェナ……


 1時間ほど馬車で走ると、前に海が見えてきた。


「潮の香りがしてきました!!リンタローさん!!見てください!!海ですよ!!」


 馬車から降り、駅で寝台車の予約をとる。


「申し訳ありません、寝台車の予約はもうほぼ満席でして、あと2部屋しかないんです。」


「マジですか…」


 つまり、2人で一部屋をシェアすることになるのか…


「おいお前ら、これどうする?」


「男と女で分けて良いんじゃないですか?」


「俺もそれでいいと思う。」


「俺も」


「私も!!ジェナちゃんと2人かぁ~えへへ…」


 何だか危ない気がするが…まあ、いいか…


「じゃあ、その2部屋でお願いします。」


「かしこまりました。どうぞ、こちらチケットになります。」


「ありがとうございます。」


 こうして、俺達4人の長い旅行が始まるのだった。

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