第53話
治癒魔法はあくまで体を再生する魔法で…
服を再生させる魔法ではない。
つまり、今のアーツトは下半身は何も穿いておらず…
上半身も先ほどの爆発で羽織っていたスーツと、ワイシャツのへそから下も完全に燃えてしまっている状態だ。
つまり彼女の下半身を隠せるものは何もない。
「リンタローさん…まさかここまで…」
「おい!これは偶然なんだって!!」
「……ッ!!今日のところは…」
「そうはさせねえ。【ショット】〈ナーブ〉!!」
俺は必死に下半身を隠そうとする哀れな四天王に神経魔法のかかった銃弾をお見舞いする。
神経魔法の効果はもちろん…
「…………ッッッ!!こ、殺、して……ッ!!」
猛烈な尿意を感じさせる。
「へっ、だれが殺すかよ。何なら俺は、ここでその液体がこぼれるのを見届けてやってもいいんだぞ?」
「…………この…外道……ッ!!」
「うわぁ…」
ジェナの眼がゴミを見る目になっているのが気になる…
「ま、まあ、冗談だ。本当は俺とジェナでお前を警察まで連行するんだ。お前を担ぎながら。」
「おいジェナ!!話を聴いてくれ!!俺達はああするしかなかったんだよ!!」
「あなたのあの戦略のせいで、警察に持って行った時の警察の眼が私たちに対する尊敬のまなざしではなく、アーツトさんに対する同情のまなざしに変わっちゃったじゃないですか!!」
まるで可哀想な生き物を見るような眼だった。
四天王のアーツトは終始死んだ顔で、両手を俺に、両足をジェナに持たれ、警察に連行されていった。
いや、だって、そうでもしないと抵抗してきそうでしょ。
まあ、警官の人が困っていたことは少し申し訳ないと思うが…
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「早速取り調べを始めるが、ヤマダ・リンタローという冒険者志望の男についてどう思った?」
「常軌を逸していると思いました。」
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「ハックション!!なんだ?花粉か?」
「花粉って年中飛んでるって言いますしね…」
翌日、早朝、馬車乗り場にて…
「おいビルト、女子たち遅くないか?」
「それな!!全く、何やってんだか…はぶっ!!」
朝の新聞がビルトの顔面に直撃した。
「おぉすげえ、お前、新聞に載ってるぞ!?」
「やっぱな、俺みたいなエリートは…」
「何々?“勇者の息子、再臨軍四天王撃破、四天王相手に尊厳破壊”……」
「ちょっと待てよ!!」
「“取り調べによるとアーツトは、リンタロー氏に対して「常軌を逸している」とコメントした。”」
俺にヘイトが向けられてないか?
一応俺、町を再臨軍から救った英雄なんだけど…
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