第52話

 身体破壊の治癒魔法!?


 どういうことだ!?


「薬は飲み過ぎれば毒と化す。私の魔法は、それを体現したものです。」


__バチバチバチッ!!


「〈エレキ・アックス〉!!」


 アーツトはジェナの斧を躱して剣を振るう。


「……ッッッ!!」


「流石ですね。体をバラバラにするつもりで振るったのですが…」


「【ショット】!!」


 俺は魔法をかけずに銃弾を撃った。


「〈ヒール〉…女性の体に傷をつけるなんて、最低ですね。」


 瞬間、アーツトは姿を消す。


「あなたの死体はできるだけ綺麗な状態で持ってこいとの命令ですからね。感謝してください。不治魔法〈アンチ・ヒール〉」


 そんな言葉が後ろから聞こえた時、既に俺は体中切り刻まれていた。


「あああああああああ!!」


「大丈夫ですよ。傷は浅めです。まあ、止血はできないようになっていますが…」


 今まで感じたことのない痛み…


 傷口が徐々に徐々に裂けていく感覚だ…


「リンタローさん!!……医天さん…許しませんよ!!」


「そうでした。ジェナさん、あなたに不治魔法をかけるのを忘れていましたね。〈アンチ・……」


「【ショット】!!〈トランスファー〉!!」


 俺は転送魔法のかかった銃弾を撃つ。


「ジェナに、その魔法を使うな………」


「〈ヒール〉素晴らしい絆ですね。」


「まあな。俺達は、一緒に風呂入ったり、同じ布団で寝たり、抱き合ったり、キスしたり、大きな胸に顔をうずめたりする仲なんだよ。」


「ちょ!?リンタローさん!?」


「それで明日からは一緒に旅行だってのに…あんたに襲われたせいで行けなくなったとか、そんなのはごめんだ。だから、俺は、絶対にここでお前を仕留める!!」


「そうですか。興味ありません。さっさと…」


「【ショット】!!」


「だから…」


 しめた!!銃弾を避ける動きを見せた!!


『スキルの発動条件が満たされました。』


スキル発動!!」


 今日こそ!!良いの来い!!


__ドーン!!


 骨が振動するような爆音と熱風、爆弾が当たった。


「〈ヒール〉!!危ないですね………ハッ!!」


 …………。


 今の爆発はアーツトの足元で起きたもの。


 つまり上半身と下半身は一度泣き別れになったわけで…


 アーツトは「さすが四天王!!」と思わせるような神業治癒魔法で上半身から欠損した下半身を生やしたわけだが…


「/////////!!」


 治癒魔法はあくまで体を再生する魔法で…


 服を再生させる魔法ではない。

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