第40話
あぁ、これじゃあうちのパーティーは1回戦敗退か…
ごめんみんな…
って、最初から負ける気でいただろ…何勝てると思ってたんだよ…
「十束の剣、分かるな?この傷は治らない。もう諦めろ。」
脳内麻薬が効いてきたのか?
腹を刺されたのに痛くもなんともない…
クソ、なんでこんな時に限って即死じゃないんだよ…
俺の腹にはまだ十束の剣が刺さったままだ。
一か八かやってみるか?
残ってる体力的に成功すればラッキー、失敗すれば即敗退だろう。まあ、このままいても敗退なんだけど…
さっきまでハズレを引いてきた俺がこんな賭け、当たるはずが…
やれることは全部やろう。
「スキル…はづどう…」
「もうやめておけ。無駄なあがきは…まさか!!」
「ヒュー、ヒュー…【まり゛ょぐ……へんがん…】!!」
刹那、十束の剣は光りだす。
そして消えた。
みるみるうちに力が湧いてくる。
なんだこの感覚は…
「再生魔法〈リプロダクション〉!!うおおお!!すげえ!!」
やべえ俺天才!!
アドレナリンドバドバ出てくる!!
父が手のひらでゴミとなったコップを魔力変換して消したときの記憶から瞬時に魔力変換スキルを習得、そして発動させた!!
すげえ!!ありがとう俺の記憶!!
「十束の剣の傷が塞がっただと!?」
十束の剣の魔力を取り込んだことで最後に刺されたところが治っている!!
魔力の性質が変化するってこういうことか!!
「お前、今、何やったか分かってんのか!?」
「知ったこっちゃねえ!!俺は今ハイになっててな!!正しい判断ができないんだ!!悪いな!!」
この状態であの魔法を撃ったらどうなるのだろうか!!
「“天より堕ちよ岩石の調べ。”」
「おいまさかそれは!!」
「“星屑の道を辿り、我が手に響け。”」
「分かった。話をしよう!!な?その状態からそれを使えばジェナとか、他の仲間たちまで危険にさらすことに!!」
「“隕石よ、我が召喚に応えよ。天空より舞い降りし蹂躙の王として姿を現せ。”」
「はあ、まったくこれだから…」
「“轟音を響かせ、烈火を放ち、敵を葬るその力を示せ。”」
「品性のかけらもない質量攻撃、単純だが防ぎようのない圧倒的な破壊力…」
「“我が意志と共に、隕石よ、降り注げ。”」
空には赤い魔法陣が浮かび、その中心部には真っ黒の穴が出現していた。
「隕石魔法〈メテオライト〉!!からの転送魔法〈トランスファー〉!!」
史上最強の魔法使い、リリル・メイ・ジュイス、現在はヤマダ・リリルになっており二児の母である。
勇者パーティーの強さの秘訣は彼女にあった。
圧倒的な破壊力、どんな悪魔も魔物も一発で降参するそんな魔法。
魔界ではそれを昇華させた“彗星魔法”を発動し、魔界の悪魔を絶滅させた経歴を持つ。
その彗星魔法は現在は禁術として暗号化されて封印されている。
「リンタローさん?これ、なんですか?」
「隕石魔法。」
「隕石魔法!?」
「あ、そうだ、ビルトとヴァンもここに転送しないと。〈トランスファー〉!!」
「うおっ!!」
「痛っ!!」
「隕石魔法って、確かリンタローさんのお母さんの…」
「そうだよ。」
「一発撃てば魔力が枯渇するんじゃ…」
「十束の剣を魔力化して取り込んだ。」
「「「え!?」」」
「まあ見ろよ。19年ぶりにこの世界に放たれる通常出力の隕石魔法。歴史が変わる瞬間だ。」
刹那、魔法陣から小さな石が地面に向かって落ち…
文字で表現できないほどの爆音と真っ白な光が視界を覆う。
結界の一番端っこにいるから大丈夫だと思うけど…
結界にヒビが入る。
これ、まずいんじゃ…
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