第34話
「〔さあ第6試合、北の方角、冒険者養成学校:リンタローパーティー!!最強を継ぐ者の登場です!!〕」
そんなアナウンスが入った瞬間、俺達の体は決闘結界に飛ばされる。
「〔南の方角、冒険者養成学校:ルイパーティー!!なんとこのパーティーにも最強を継ぐ者がいます!!継承者VS継承者、どちらが勝つのか!!試合、始め!!〕」
ゴングが鳴らされた。
数分前、
「私はルイを叩きます。」
「おい、大丈夫か?」
「はい、やらせてください。」
「分かった。この前も言ったが、無理するなよ?じゃあヴァンには猛獣使いを頼みたい。あいつは男には倒せないと思う。」
「頼まれたわ!!」
「ビルトはまだ強さが謎の催眠術師を倒してもらいたい。」
「おいおい、催眠術師って、俺を舐め過ぎじゃないのか?あいつ、魔力も体力も低レベルって聞いたぞ?」
「お前、油断はするなよ?最後に俺はリリンを倒しに行く。双子で決着をつけようと思う。」
__カーン!!
「〔さあゴングが鳴らされたぁ!!〕」
と、その瞬間…
「氷結魔法〈ブリザード〉!!」
突然、茂みから氷結魔法が放たれる。
魔法を撃ったのはもちろん
「おい卑怯だぞ!!」
「お互い様よ。」
リリンだ。
俺は暗黒魔法の収納から銃を取り出し、撃つ。
「【ショット】!!」
「透過魔法〈パーミエイション〉!!」
さすが完全な全能スキルの使い手、ヤマダ・リリン。俺の双子の姉、銃を構えた瞬間から魔法は発動されていた。
透過魔法とは、相手の攻撃をすり抜けさせることができる魔法である。
銃弾は効かなかった。
「リンタロー、私はここ2週間、山籠もりで魔法の鍛錬を積んできた。」
リリンは大量の魔法を無詠唱で発動させ、話を始める。
俺は避けることしかできない。
「あなたに盾にされてからずっと強くなったわ。」
どうすればこの魔法の嵐から抜け出せる?
透過魔法は俺が使うと規模が小さ過ぎて指先しか透過しない。
手榴弾を使うか?
取り出す時間がない。つまり武器でここを抜け出すことは不可能だ。
「ふふ、リンタロー、さあ何か仕掛けてきなさい!!」
「ばか、仕掛けられねえよこんなんじゃ!!」
何がある?
近距離戦に持ち込むか?
いや、多分近距離戦でも勝てない。
どうすれば…
__ズドォ!!
遠くから爆発音のようなものが聞こえる。
ジェナが戦闘を開始したらしい。
「ありゃ、ジェナちゃんは一発退場だね。」
爆発音と同時、リリンの魔法の嵐は一時的に止まる。
今だ!!
「【ショット】!!神経魔法〈ナーブ〉!!」
「危なッ!!ちょっと、掠ったじゃない!!」
端からリリンに銃弾を直撃させることができるなんて思っていない。
だから銃弾に掠っただけで致命傷となる神経魔法を込めた。
神経魔法の効果は相手の神経信号をバグらせるというものだ。
通常は相手に激痛を与えたり、相手の体を操るという使い方をする凶悪な魔法だが、俺の魔力ではそんなことできるわけが無い。
「姉ちゃん、親父は一度たりとも正々堂々戦ったことが無いらしいぜ。」
「??それがどうし…」
「俺は銃弾に神経魔法を込めた。」
「その割には体の自由が利くわね。」
「やっぱり対策なしか。〈魔法効果発動〉!!」
「!?!?!?!?!?」
次の瞬間、リリンはその場にしゃがみ込み、キッと俺を睨む。
俺が神経魔法で何をしたかって?
「フフフ、姉ちゃん、その状態では動けまい。」
神経魔法で膀胱の感覚を狂わせた。
姉に使ってはいけない技だったのだろうが、そんなのは関係ない。
今、姉には声も出せないほどの尿意が迫っている。
「こ、降参するからっ…私を殺して…」
このまま放置しておけば姉は数万人という人の前でお漏らしをして社会的に死ぬことになる。
さすがにそれはかわいそうだ。
「悪いな。姉ちゃん。【ショット】」
決闘結界で死んだ場合、肉体の記憶以外の全ての情報が結界に入る前の状態にリセットされて別の結界に転送される。
つまりリリンの尿意はこの結界から出れば消えることになる。
今頃怒ってんだろうなぁ…
あとで言うこと聴いてあげよう。
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時は遡り数分前…
「見つけました。今度こそあなたを倒します。覚悟してください。」
「何度も言ってるだろ?それは無理だ。」
「私は覇王殿堂ボブの弟子、ジェナ・エール・アルクです。あなたを倒して超えるためにここに来ました!!」
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