第30話
「どうする?このままうちの楽団の執事がエッグタウンまで転送してもいいけど、馬車に乗って帰るって手段もあるわ。」
「「転送で。」」
「あ、はい。じゃあ、ボブ、ケンタロー、リリルによろしくね!!」
「はい」
今日、俺はファーストキスを経験した。
しかも同じパーティーの女子と…
「それでは行きますぞ。〈トランスファー〉」
俺達の視界は白い光に包まれ、光が消えるとそこはエッグタウンだった。
「ジェナ!!」
エッグタウンに着くや否やジェナはボブに抱き着かれた。
「良かった!!良かったぁ…!!ジェナ…よがっだあああ!!」
「し、師匠、その、私の服が、涙と鼻水で…」
「よがっだよおおおおお!!」
感動するなぁ…
あれ、なんだか意識が朦朧として…
「ん?リンタロー?やばくないか?おい、誰か!!リンタローが!!」
……ここはどこだ?
「あ、やっと起きました。そ、その…おはようございます?」
ん?なんで俺が寝てる横でジェナが寝てるんだ?
「これどういう状況?」
「多分、師匠の仕業だと思います。リンタローさんが疲労で気絶した後、私も気絶してしまったので詳しくは分かりませんが…」
…………。
あの2人がふざけて俺とジェナを同じベッドの同じ枕の上で同じ布団で寝かせている光景はすぐに想像できてしまう。
「ここは…」
「私の家ですね。」
「学校は…」
「置き手紙があります。『学校には連絡しておいた。好きなタイミングで行くと良い。』だそうです。横にリンタローさんの制服がありますよ。」
案外気が回るじゃないか…
「そうか、じゃあ俺シャワー浴びてくるから…」
するとジェナは俺の服の袖を引き…
「私も入りたいんですが…」
「いやちょっと待て、俺だって入りたいんだよ!!」
「私もですよ!!」
「俺は昨日お前を担いで走ったんだぞ!!俺が先に入るべきだろうが!!」
「今のその言葉さえなければ先に入らせてましたよ!!」
「なんだと!!」
………。
「「…………アハハハハハ!!」」
「おい!w何がおかしい!!w」
「リンタローさんだって笑ってるじゃないですか!!」
そうだよ、今まであんなことがあったんだ。そろそろ一緒に入ってもいいのではないだろうか。
「ルールを決めましょう。」
ルールその1:互いの体に触れてはならない。
ルールその2:お互いに背面を向いて入ること。
ルールその3:以上のルールを破った場合、ペナルティとしてご飯を奢ること。
「よし、こんなもんだろ。」
「はい、じゃあ、は、入りましょう!!」
下心悟られないようにジェナが入ったら俺も入るようにしよう。
「「……………。」」
「先入れよ。」
「いや、リンタローさんが先に…」
「いやいやいや、レディーファーストってやつで…」
「リンタローさん、昨日私のために頑張ってくれたんですよね?だとしたら、先にお風呂に足を踏み入れるのはリンタローさんであるべきなのではないでしょうか?」
あ、これ…
「どーぞどーぞ。」
「そちらこそ…」
一生入れないパターンだ。
「もう普通に2人で入ろうぜ?」
「そうですね。背面を向き続けるんじゃくつろげませんもんね。」
よくよく考えたらお互いにタオルを巻いて入ればいいじゃないか。
__ポチャン…
「「安らぐ~…」」
訳ねえだろ。横を向けばヴァンをも凌駕するかもしれないダイナマイトが視界に入るんだぞ。
言っていることは気持ち悪いかもしれないが、触り心地がよさそうだ。さっきは服の上から顔が埋まったが、ジェナは着やせするタイプなのだ。きっと今埋まることができたらそれはもうものすごく素晴らしい体験ができるのではないだろうか?
おっと、怪文書ができてしまった。これくらいにしておこう。
「リンタローさんって、服着てるときはガリガリに見えるのに意外と筋肉あるんですね…ちょっと触ってみたいかも…」
「え?」
「ハッ!?私何を!?すいませ…」
「ジェナの体ってエ□いよな。」
「!?!?!?」
「服着てるときは質素な感じなのに服脱いだら凄い豪華だし…」
「すいません!!謝るので…」
ジェナは急いで謝ろうとするがそうはさせない。
「タオルを巻いて隠しているようだけど、タオルじゃその体系隠せないよな。」
「本ッ当に謝るので許してくだ…」
ここからさらに追い打ちをかけていこう。
「尻もタオルから少しはみ出してエッチだし、足の指先から鼻までスベスベで触り心地よさそうだな~。」
「ごめんなさいごめんなさい!!」
!?!?
「マジか…」
「ど、どうしまし…」
俺はその事実に気付き、口を押えて驚いた。
「お前、必死に謝ってたから気付いてないだろうけど、タオル落ちてるぞ?」
__バシャ…
ジェナは赤面して湯船に入ったまま気絶した。
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