第26話
遡ること10分前
「よし、みんな、教会に着いたよ!!僧侶さん!!この人たちを!!」
「怪我人ですね………これは…」
教会に着くや否や俺とジェナを見てプリーストは言葉を失う。
「どうしたんですか!?」
「これ、呪いですよ。口から下が動かなくなる呪い…解呪はすぐに終わりますが、ここに来るのが少し遅れていたら死んでましたよ!?誰にこんな呪いを!?」
「分かりません、ただ、おそらく再臨軍です。」
「再臨軍!?」
「はい、なので、この2人の解呪が終わり次第、ギルドに報告をお願いします。」
うわー、こんなしっかりしてるヴァン初めて見た。
「分かりました。解呪魔法〈ダブル・ディスペル〉!!」
————
「ま、そんなわけで、ここからは俺とジェナが相手をしよう。」
「へぇ、面白いじゃない。今回の仕事はあなたの抹殺じゃなくて勧誘、無理やりにでも来てもらうわ。」
こいつの能力は何だ?
プリーストのあの発言から予想するに、こいつの主な攻撃手段は“呪い”。
役職も呪術師で間違いないだろう。
「【ショット】!!〈スケルトン〉!!」
__ズドッ!!
命中!!
「ゲホッ、やるじゃない。〈修復機能向上の呪い〉」
銃弾の傷口が治っていく…
自分に呪いをかけて体の修復機能を上げたのか!?
「次、私のターンね。さっきの男にはかける前に邪魔されたけど…今度は当たるわよね?〈死の呪い〉」
呪いとは、自らの魔力に負の感情を乗せてその魔力を対象につけることで対象の魔力を蝕んで進行していく一種の魔術の事…
分かりやすく言うと瞬時に相手にガンを発症させるような術だ。
ガンと違う点は呪われた人が死ぬとその人から呪いの魔力が出てきてそれに触れた周りの人が呪われてしまうというところだ。
「死の呪い!?」
あれ、俺、これで終わり?
死の呪いって確か、呪いの中では一番強い呪いじゃなかったっけ…
その呪いを含んだ魔力塊が俺に当たるその刹那…
「リンタローさん!!」
__バッ!!
………!?
「ジェナ!!ジェナ!!」
ジェナが俺を突き飛ばし、自ら死の呪いの魔力塊を食らった。
「あぁ、ぁああああああああぁぁぁあぁぁあ!!」
「ジェナ!!しっかり!!しっかりしろ!!おい!!」
「ゴフッ…リン…タローさん…ゴボッ…」
凄い量の吐血…
「お前、俺を庇って…馬鹿じゃねえのか…おい!!」
「リン…ダローさ…ゴブッ」
「無理して喋るな!!呼吸を…」
「リンタローさん、ゴブッ………私………私はあの日から、変わりましたか?また、あの時のセリフを…ゲホッ…あの時の……」
「いやだ…」
「リン…」
「いやだ!!やめろよ!!死ぬんじゃねえ!!まだ俺はお前の疾風魔法を見てねえぞ!!……なのに…」
「はいはい、ロマンチックなのはもういいから、リンタロー君は同行願おうか。本当は一度殺して、城で蘇生して牢に放り込もうと思ってたんだけど…この状態ならその必要は無さそうね…」
許さない。
「あら怖い顔~。」
「許さない。」
「〈拘束の…」
「殺してやる。【ショット】転送魔法〈トランスファー〉」
__バン!!
「前から撃ったのに後ろから弾が飛んできた…痛いわね、でもこのくらい…」
「【ショット】〈トランスファー〉」
「痛っ!!ちょ…」
「【ショット】〈トランスファー〉」
腹部
「【ショット】〈トランスファー〉」
背部
「ゲホッ!!まずい…〈硬直の呪…」
「【ショット】増幅魔法〈パーピゲーション〉」
喉、心臓、肺
「〈回復の呪い〉…はぁ、はぁ、危ないわね…」
「【ショッ…」
「〈攻撃不能の呪い〉」
なんだ?体から力が…
こいつに銃を向けようとすると激痛が走る。
「これであなたは私に攻撃ができなくなった。さよなら。彼女さんと一緒に死になさい。〈死の…」
その時、瞬きと同じ速さで彼はやってきた。
「!?〈防衛の呪い〉!!」
「〈フレイム・ブロー〉!!」
__バガァ!!
姿を現した男は紛れもなく…
「危ないじゃない、自分に呪いをかけてなかったら死んでたわ…」
「ボブ、さん?」
「リンタロー、俺が来るまで、よく耐えた。ここからは俺に任せろ。」
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