第25話

「まさか、ここまでとは…」


「ん?なぜ倒れてるんだ?俺はまだ魔法もスキルも使ってないぞ?」


「バケモノが…なんで、俺の重力魔法で平然と立っていられるんだよ…」


「あぁ、動きづらいと思ったらそれのせいか。お前の周りだけ重力が弱くて俺の周りだけ重力が強くなってる…こんな感じだな?」


「何故分かった!?」


「昔、魔王軍幹部と戦った時、同じ戦法を使う奴がいてな、まあ、そいつは聖剣も持っていたから、お前よりは強かったぞ?」


「…ふざけやがって、俺にかかっている重力は0.5G、対してお前にかかっている重力は50G、生けとし生けるものみんなぐちゃぐちゃだぞ!?」


「G?Gってなんだ?」


「………まじかお前。」


「とにかく、俺は今からお前を気絶させて警察に引き渡す。大人しくしてろよ?じゃないと痛いぞ?」


「馬鹿にするな、俺は再臨軍四天王、そんなにあっさりと警察に引き渡されてたまッ………」


「はい、署に行こうな。」


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「仲間を逃がすなんて、あなた、なかなか男じゃない…その行動、私の正体を知っての行動かしら?」


「へっ、知らないね。お前、誰なんだよ。再臨軍の関係者ってのは分かるが…」


「私は再臨軍四天王、呪天のクラング、思う存分、ヤりましょう?」


「すいません舐めてました。逃げます。さよならッ!!」


「どこ行くの?」


「ひぃ!」


「さあ、あなたの攻撃を私に見せてみなさい。」


 え、ちょ、この人、四天王って、これ…


 ダメなやつだ。


「いや、本当に謝るんで逃がしてくださいいいいいい!!俺、遠距離特化なんですよ!!」


「知らないわ!!あなたが先に私に攻撃宣言してきたんでしょ!!なら私に攻撃してきなさいよ!!」


__ドサッ…


 まずい、躓いた!!


「ねえ、なんか冷めたわ。かっこつける前に強くなることね。本来、私はあなたに用はないの、リンタローというあなたのパーティーメンバーに用があるから。今日のところは見逃してあげるわ。さっさと冒険者やめて一般人として生きていきなさい。次こそ殺すわよ。」


 クラングはそう言うと教会の方に歩いて行った。


 え、待て、やばくないか?


 このままだと確実にリンタローに危害が加わる。


 それどころか教会の美人プリーストの身にも危険が…ヴァンとジェナも危ないな…


 今、クラングは俺に背を向けた状態だ。


「【スリングショット】!!〈ハリケーン・ボンバ〉!!」


 俺の手元からゴムを介して弾が飛んでいく。疾風魔法でさらにその速度は上昇する


「痛ったァァァ!!…………ねえ何なの!?あなた見逃してほしいんじゃなかったの!?もういいわ。殺す。〈死の呪い〉」


 さて、詰んだか。


 あーあ、かっこつけなきゃよかった…


「さようなら。来世でも同じような人生送れればいいね。」


 ごめんな、俺、大会出れねーわ。


「〈アークフレイム・スラッシュ〉!!」


「【ショット】!!」


「あっ外した…やるわね。」


「大丈夫!?ビルト!!」


「ヴァン、ビルトを安全な所へ。」


「えー、私も戦いt…」


「お前が滅茶苦茶強いのは分かってるけどこんなところで狂戦士開放して暴走したらやばいことになるのは目に見えてる。」


「はいはい。さ、行くよ。」


 リンタロー?ジェナ?ヴァン?


「なんで、お前ら、治療にもっと時間かかりそうだったけど…」


「意外と早く終わった。それだけだ。」


「お前って奴は…」

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