第23話(後編)
30分後
「さあ!!どこからでもかかってこい!!」
修行結界、それは受けた切り傷やかすり傷など軽い傷を自動で即座に治す結界。
「【ショット】!!」
「ふん!!」
この人至近距離の銃弾避けたんだけど…
ゴム弾とはいえ音速に近い速度出てるんだけど…
「うむ、リンタロー、その“銃”という武器、ケンタローは低出力の転送魔法と組み合わせて使っていたぞ。」
「転送魔法!?どうやって!?」
「それはだな…」
「隙あり!!【スリングショット】!!」
「ビルト、スリングショットの引きが足りないな。もっと引く力をつけたほうがいい。」
何この人、攻撃が全然当たらない。
「ジェナ!!頼んだ!!」
「り、了解です!!師匠、覚悟してください!!電撃魔法応用〈エレキ・アーク〉火炎魔法着火〈フレイム・イグニッション〉!!」
ジェナの新技、アーク放電、着火
手のひらの上で高電圧の電気を流し、発火した瞬間に低温でしか出力できない火炎魔法に着火、疑似的に通常の火炎魔法をつくり出す。
「〈フレイム…」
「発想は悪くないが、もう少し着火までの時間を短くしたほうがいいな。火炎吸収〈フレイム・アブゾープ〉」
さすが覇王、ジェナでも手を付けられないとは…
「………
「さすが師匠のお孫さんと言うべきか、だが…」
「ガウッ!!」
「〈フレイム・ボム〉」
速すぎる…
この結界の外だったらもう修行は終わっていた。
だがここは修行結界、少しの怪我はモノの数秒で完治してしまう。
「まだまだぁ!!【ショット】!!透明魔法〈スケルトン〉!!」
俺は父よりも少し魔力量が多い。
父が使っても小指の爪が透明になる程度だった透明魔法でも、俺の魔力なら銃弾ぐらいのものは透明にできる。
「ウッ!!」
俺はボブの心臓めがけてゴム弾を撃った。
透明魔法が掛けられた銃弾は見えるはずもなく、まっすぐあばらに直撃した。
「ほう、そう来るか。さすがだな。では、こちらも少し強いのをお見せしよう。【プッシュ】」
ボブは親指と中指でデコピンの構えをとる。
「おい、デコピンって…」
__ズドン!!
「ガハァッ!!痛ってえええええええええ!!あ、あばら、あばら骨折れた!!」
「すまん、次はもっと優しくやろう。」
あばらが折れようと、この結界内では容赦なく傷が癒える。
「今度こそ!!〈エレキ・アーク〉〈フレイム・イグニッション〉!!〈フレイム・ブロー〉!!」
「まだ遅いな。」
「ガルルルルル!!……う、ウゥ…【狂獣変化:龍・解放】【龍焔】!!」
すごい!!ヴァンの口から青い炎が勢いよく出てきた!!
「なるほど、狂獣変化の真の効果は自らの肉体の一部を特定のモンスターや動物のものに変形できるというもの、もし今のを無意識に行っているとすれば…」
「【龍爪】!!」
今度はヴァンの手が龍の鍵爪に変わった。
__サクッ!!
「俺の筋肉の鎧を搔き切った!?素晴らしい、君に言うことは、自我を保てということ以外無い!!合格。」
ボブはそう言うと、ヴァンの後頭部にチョップをして眠らせた。
「さて、次、」
「グヌヌヌヌヌ………【スリング………ショットォッ】!!」
__ドン!!
「合格。」
次の瞬間、ビルトは眠らされていた。
これってまさか、合格しても眠らされるだけなのでは?
そ、そこへジェナが拳を構え、魔法を唱える。
「放電着火魔法〈アーク・イグニッション〉!!〈エレキフレイム・ブロー〉!!」
その瞬間、ジェナが纏っていた電撃魔法の稲光は赤橙色に光り、火花が降り注いだ。
「合格。」
そして眠らされる。
どうしよう、俺もつかれたし、眠りたくなってきた…
「リンタロー、君はまだだ。」
「知ってるさ。」
俺が持っている全能というスキル、これをどうにか有効活用できないものか…
「来ないのか?ならこちらから…」
確か、一度見たスキルなら即座に習得ができるスキルだったはず…
ならば…
『スキルの発動条件を満たしました。』
「ん?」
正直、このスキルは殺傷能力高めだからあまりボブには使いたくなかったが仕方ない!!
あなたならなんとか受け止めてくれるだろう!!
「
「な!?」
刹那、罠スキルによってボブの周りに大きな穴が出現する。
「この戦い方、父親まんまだな。合格だ。」
__トンッ
意識が遠のいて…
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「なるほど、あれが問題の…」
『そうだ。あのボブという男、勇者の相棒だが、おそらく勇者パーティー最強の男だ。スピード系の君に始末してもらいたい。』
「承知しました。」
修行結界の上でターゲットのボブを発見。
城で休養中の総督と通信魔法で遠隔で会話する。
「では総督、お体に気をつけて。」
「気が利くね。君も、くれぐれも油断のないように、まあ、君なら死なないだろうがな…」
『それ、死亡フラグって言うんですよ?』
じきに結界から出てくる。
さて、お仕事といこうか。
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