第12話
「では、今日の実習は、1組、2組合同実習だ。」
翌日、実習が始まった。
「実習内容は宝探し。1、2組合計20個のパーティーでそれぞれが3時間以内で見つけられた宝の数を競う。宝は今私が持っているような星形の青いクリスタルだ。結界内に100個ばらまかれているぞ!破損した宝は点数に入れない。また、他のパーティーから宝を強奪するのはアリだ。いいな。」
「「「「「はい!!」」」」」
「では、始め!!」
俺達はエッグタウン決闘結界と呼ばれる結界に転送された。
決闘結界とは、その名の通り、決闘に特化した結界。
その結界内で死んだ場合、外に設置されている小型の蘇生結界に転送され、そこで蘇生させられる。
この世界に決闘結界は10個存在する。
世界最大の決闘結界は盆地一つをそのまま結界にしている。
そして今回、決闘結界に転送されたということは、死の危険があるということ。
それだけ危険な実習だってことだ。
「よーし、それじゃあさっそく始めるか~。…にしても、宝探し程度で決闘結界なんて大げさだなぁ。」
どうやらビルトはこの実習の恐ろしさを分かっていないらしい。
「あ、ああ、あの、皆さん、この結界に転送されたということは、命を失う可能性があるってことなんじゃ…」
「ジェナったら、なに大げさなこと言ってんのよ~!あの星形のクリスタルを探すだけなのよ?」
この事態をすぐに理解した頭のいいジェナと、油断しかしていない脳筋のヴァン。
………このパーティー大丈夫か?
1時間後
「はい50個目~!!」
「「「すごっ」」」
「でしょ~?狂戦士は持ってるスキルのおかげで野生の勘が働くのよ~!」
そういえば狂戦士のスキルって野生の本能を呼ぼ覚ますモノなんだっけ…?
すげー。
今までパーティーで集めた宝の数は50個
そのうち俺が集めた宝が2個
ビルトが集めた宝が3個
ジェナが集めた宝が5個
ヴァンが集めた宝が40個
だいたい1分半周期で1個見つけているヴァンには才能を感じる。
「よし、この調子でいけば学年1位は確実ね!!」
と、油断したその時だった。
__キンッ!!
俺の目と鼻の先を斬撃魔法が横切った。
「チッ外したか。」
そこにいたのは1組の最強パーティー。
俺の姉が所属しているパーティーだ。
斬撃を飛ばしたのはそのパーティーのリーダー
その名も
「ルイ・ヴィルト・ホーリーソード……!」
「おっと、俺の名前はそんなに短くないぞ?俺の真の名前はルイ・ルージュ・ルーペ・マード・ソルム・サインズ・ベルト・パスト・ダイ・ベルツ・インs…」
「全員、逃げろおおおおお!!」
俺は全力で叫びながら走った。
こんな所でポイント失ってたまるか!!
現在、相手はルイ1人だが、それでも勝てるビジョンが思い浮かばない。
「ねえちょっと!!何で逃げるのよ!!あのパーティー、20個ぐらい宝持ってたわよ?」
「おい!宝の数は強さを表してるんじゃないからな!!あのメンツの強さ分かってんのか!?」
「知らないわよ。隣のクラスだし…」
「バカッ!!あいつらは…」
「逃がさないよ。拡張斬撃魔法〈スラッシュ〉」
__ザン!!
奴が飛ばした斬撃は、ビルトに直撃した。
ビルトの肉体は縦に真っ二つに斬られ、その体から血が出るよりも早く結界外に転送された。
先ほども言ったが、重要な事だからもう一度言わせてもらう。
この結界で死んでも生き返れる。
「…ここは任せてください。」
俺の横を走っていたジェナがそんなことを言う。
「おい、ジェナ!!お前じゃ…」
「あの人は、私の師匠の息子で、昔から私を馬鹿にしてきた人です。一発キメさせてください。」
ジェナは背中に装備していた斧を手に取り、構える。
「…死にそうになったら逃げろ。俺は結界東側の高台の草むらに隠れてる。いいな?」
ジェナの顔は覚悟が決まったような、そんな顔だった。
「ルイさん、私はもう、魔法の使えない戦士ではありません。」
「そうか。だからどうした?という感じではあるが、まあ、庶民のお前は俺のおもちゃになっていればいい。ただそれだけだ。」
ジェナはその言葉を聞いた瞬間、堪忍袋の緒が切れたのか、強く踏み込み、ルイの間合いへ飛び込んでいった。
「電撃魔法応用〈アタッチ・エレキ・アックス〉」
「………やはり、愚父の戦法か。反吐が出る。呪文斬撃魔法〈スラッシュ〉」
ジェナの斧とルイの斬撃は互いにぶつかり合い、火花を散らしていた。
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