第3章:合同実習・記憶と戦略
第11話
「このスキルは俺の修行をつけてくださった先生が考えたもので、肉体に変化をもたらすからその辺のスキルよりも俺とかリンタローとかが持っている“固有スキル”に近い。ただ、このスキルは魔力量が3(-)より少ない人間にはほとんど効果が無いから気を付けてくれ。」
親父のスキル講座が始まった。
俺は横からその光景を眺めていた。
この世界のスキルの習得方法は基本的に1つしかない。
まずはスキルの使い方を教えてもらう。その次に冒険者のステータスカードからスキルの情報を体に書き込む。最後に1週間ほど訓練してスキル習得完了だ。
ただ、俺とか親父みたいに固有スキルの影響でスキルを一目見ただけで習得できてしまう人間もいる。
「よし、じゃあステータスカードを開いてそこに表示されている【魔力効率上昇スキル】ってのをタップするんだ。」
「し、しました。」
「おけ、じゃあ、1週間ほど魔法を使うとき以外は常に魔力を殻に閉じ込めるイメージで生活してみてくれ。そうすれば意識せずに魔力効率が上がってるから。」
「わ、解りました。」
数分後、飲食店にて
俺達は2人用のテーブル席で夜ご飯を食べながら話していた。
「どう?訓練の調子は…?」
「ま、まあ、戦士のスキルを習得するときよりかは楽ではありますね。」
………そうなんだ。
「ちなみに、戦士のスキルの訓練ってどんな感じなの?」
「そ、そうですね…殴打力強化スキルだと24時間拳に力入れ続けたり…とにかく筋肉痛になりますね。スキル習得してもしばらくは動けません。まあ、慣れますが…」
想像しただけで腹筋が痛くなってきた…
そんな話をする俺達の横の席に突然、男が座った。
男は突然、
「君たちは物語のハッピーエンドって知っているかい?」
怖い、何だこの人。
俺とジェナは不審に思い、黙々と飯を食って早々に帰ることにした。
関わりたくない。
「あなた達に言っているんだ。リンタロー君にジェナさん。」
なんで名前を知られているんだ!?
俺が勇者の息子でジェナは最近大活躍したからだろうか。
沈黙を続ける俺達に対し、その男は話を続ける。
「もう一度訊こう。ハッピーエンドはご存知かな?」
「「………」」
「そうか。答える気なしというわけだ。」
いや怖い、怖すぎる。
店に入ってきて隣に座って話しかけてくる人怖い!!
見た目は20代前半あたりだろうか。
まるで右手を覆い隠すかのように右だけ不自然に袖が長い黒いローブに紺色の髪の毛、目の色は光を失った水色の高身長の男だ。
「物語を読むと、必ず終わりがやってくる。その終わり方がバットエンドの場合、主人公は不幸になり、ハッピーエンドの場合は主人公に幸運が舞い降りる。」
何が言いたいんだろう。
「私は、後者を探している。この長い人生を終わらせるにふさわしい
俺達は飯を食い終わり、レジに移動する。
「君たち2人には権利がある。そのままの人間として、
俺達は店を後にした。
「怖かったあああ!!」
「わ、私もかなりの恐怖を感じました…」
ハッピーエンドか、バッドエンドか…
まあ、きっとただの変な人だろう。
忘れよう。
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