第2話

「今日は午後に実習があるからな~、まさか、パーティーできてない奴なんていないよな?いたら昼休みまでに作っておけ~。」


 …………。


「無理だった。」


「俺も。」


 ホームルームが終わり、俺とビルトは教室の隅で暗く落ち込んでいた。


「なあ、リンタロー、提案なんだが…」


「悪いが、お前と同じパーティーにはならないからな?俺は、強くて戦闘狂な奴とパーティーを組むんだ!!それで最優秀パーティーに選ばれて一生楽に生きて、勲章を使ってきれいでえっちなお金持ちの女の人を釣って、その人とあんなことやこんなことをして結婚して苦労せずに幸せに暮らすんだ!!」


「最低だな、お前…まあ、俺も同じこと考えてたけど…」


 まだ、希望が消えたわけではない。


 このクラスには、まだパーティーに入っていない上級職がい…


「あ、聖騎士の○○君じゃん!!うちのパーティーあと1人で完成だからさ、ぜひ入ってよ!!いやー、助かった!!あとちょっとであいつと組まされるとこだった!!」


 希望の糸はたった今しがた、プツンと切れた。


「ビルト、パーティー組もうぜ。」


「お、おう。」


 残ってる奴は俺達を除きあと3人、女狂戦士と中級魔法使い………あと誰が残ってるんだっけ?


 狂戦士はできるだけ避けたい。強くて戦闘狂なのは理想ではあるが、敵味方関係なく襲ってくるのは危険だ。とにかくパーティー戦と相性が悪すぎる…


 だとすれば、狙いは中級魔法使いと……忘れたけどもう1人のほうだ。


 余った中級魔法使いは男だからできれば避けたかったが、仕方ない。


「なあ、中級魔ほ…」


「あ、中級魔法使いのレーザ君!!こっち入ってくれ!!よし!定員達成!!」


 …………終わった。


「おい、マジでどうするよ。」


「どうするったって、俺達除いて2人しか残ってる奴がいないんだから、そいつら誘う以外になんかできることあるのかよ?」


 どうしようか…


 狂戦士じゃないほうを勧誘するにも、影が薄いからどこにいるか分からないし…名前忘れてるし…


「あ、あのぅ…」


 机に突っ伏して悩む俺の耳に突然聞いたことのない声が飛び込んできた。


 女の人の声だ。


 誰の声だろう?自信が無さそうな感じだから狂戦士ではないだろうが…


 俺は興味本位で顔を上げてみることにした。


 そこには、普段影が薄い存在だとは思えないほどの美貌を持った女が立っていた。


 そうだ、まだどこのパーティーにも入っていないのはこの人だ。


「知ってると思いますが…わ、私はジェナと申します…そ、その、り、リンタロー…く、リンタローさんのパーティーは、て、定員空いてるんですよね?」


 なんてこった、俺はこんなにかわいい人を見逃していたのか!?


 黒髪ロングのストレートで胸は小さいもののスタイルはよく、自信が無さそうで、常に頬を赤くしているその女性は、俺の顔をじっと見つめ、


「その、いいい一緒に、ぱ、ぱぱぱパーティー、に、入れてもらえませんゕ…?」


「もちろんですとも!!」


 まあ、どちらにせよこの人が同じパーティーに入ることは確定だったのだが…


「よ、良かったぁ…その、私、臆病で…全然戦えませんが、よろしくお願いします!」


 ん?


 今、何て言った?


 戦えない…だって…?


「え、まじ?」


「は、はい、戦うのが怖くて…」


 じゃあなんでこの学校入ったんだよ。とかツッコみたくなるが、ここで何を言ったとしても、どんな行動をとったとしても、この人と同じパーティーになることは変わりない。


 仕方ないか…


 俺の楽ちん人生への道はまた閉ざされた気がした。

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