第1章:最強が欲しい
第1話
「おいリンタロー、また寝たのかよ~」
「だーかーらー、勘違いするなよビルト、何度も言ってるが俺は寝てたんじゃない、ただぼーっとしてただけなんだ!」
「寝てんのと同じじゃねーか。まあ、明日の授業では𠮟られないようにな!じゃあな~!」
「う、うるせ~…」
俺の父は勇者、母はそのパーティーの魔法使い、遺伝子的に最強なはずなんだが…
俺の冒険者ステータスカードを見てみると…
“魔力量:1(-)
体力 :4(+)”
何が勇者の息子だよ…
魔力も体力も一般人の平均が5(-)~5(+)で設定されているのに対して俺はこの通り一般人以下だ。
そんな俺がこの学校で今の成績を保てている理由は、両親の固有スキルを受け継いでいるから。
まあ、超優等生である双子の姉は母のスキルを持っていないんだけど…
「よし、じゃあ帰りのホームルーム始めるぞー」
授業が終わり、担任の教師が戻ってくる。
担任は丸眼鏡の位置を直し、気怠そうに必要事項を淡々と話していく。
「あ、そうだ、お前ら、今から俺が言うことは大切なことだからちゃんとメモっとけよー。もし忘れた奴とか聞いてなかった奴とかメモし忘れたやつとかいたらあとで聴きに来いよ~」
この担任の良いところは大事なことは生徒にしっかり聴かせるところだ。
1年、2年の時の担任は大切なことは一度しか言わない主義だった。
「来週からの実習はチーム戦でやるからな。明後日の実習までに全員、4人ずつのパーティー作っておけよ~。このクラスは40人のクラスだからちょうど10組できるはず、作れなかったやつがいたら定員満たしてないパーティーに入れる。いいな?」
…………。
ピンチだ。
俺はこういうのが一番苦手だ。
何人ずつで組めよーってやつ…
ちなみに、これは先輩から聞いた話だが、この学校の3年生1学期中盤からの実習はパーティーごとに成績がつけられ、卒業時に最も優秀だったパーティーのメンバーは国から勲章が貰え、税金が免除される。更にギルドのクエスト(依頼)報酬は特別に毎回10倍に跳ね上がるという…
つまり強いメンバーを集めて最強パーティーを作れば俺は一生楽をして食っていけるってわけだ。
「では、ホームルームを終わりにする。お前ら気を付けて帰れよ~。リンタローはあとで職員室来い。以上。」
このクラスの強い奴といえば、父が勇者になる前の元勇者候補1位の男の息子:ケンザキ・ヒョウガ、最強美人アサシン:ラベル・ローザ・ナイトリッジ、そして…
「おい、いつまでボーとしているんだ。さっき職員室に来いって言ったよな?」
「はい!すいません!!」
10分後…
「おい、これ、嘘だと言ってくれよ…」
俺は担任に授業中ぼーっとしていたことで怒られて帰ってきたのだが…
「ケンザキ君、明後日の実習よろしくね?」
「あぁ、ラベルさんだっけ、よろしく。」
「いやあ、なかなかいいメンツじゃないですか。レヴェルさんと同じパーティーになれたし。」
「ほんと、ケルタ君、こっちでもよろしくね!」
俺が狙っていた強いクラスメイトがみんなケンザキのパーティーに入っている…
特にラベルさんに関しては美人だし、話しかけやすいし、ちょっと狙っていたのに…
落ち込み、ため息をつく俺の肩を突然何者かがポンと叩いた。
「残念だったな…俺も頑張ったんだけどな…」
俺の肩を叩いたのは同じクラスで幼友達のビルトだった。
「リンタロー、諦めて俺とパーティー組もうぜ?楽はできねえだろうけど…」
「いや、ビルト、諦めるのはまだ早い。ここを一体どこだと思っているんだ?ここは大陸のありとあらゆるところから冒険者志望の最強が集まる学校だ。このクラスにはまだ聖騎士とか、グランドナイトとかまだまだいるんだ!明後日までに絶対最強パーティーを作ってやる!!」
まあ、そんな最強が集まる学校に俺みたいな最弱が紛れ込んでいるわけだが…
「お!じゃあ、俺とどっちが先に最強パーティーを作れるか勝負だな!!負けたほうが勝ったほうに何か奢りな!!」
こうして、俺とビルトの勝負が始まり、時間が流れ…
明後日になった。
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