第28話 2人1部屋で一泊
拠点壊滅のクエスト前夜となった今日。
家からの移動は大変なので敵拠点近くの宿に4人で泊まることになっている。
「すみません……今日は残り2部屋となっておりまして……」
こういうところはいつも大体半分くらいしか部屋が埋まっていないイメージを持っていた。
というか前世ではそうだった。
前世の頃に比べて世界人口は増加している。さらにここはヴァルセリアの首都だ。
……想定が甘かった。
「どうするの? 別の宿探す?」
「だが他の宿は少し遠いな」
「なら1部屋2人ずつで止まればいいじゃない? あたしはそれでいいと思うけど」
「それだと誰か1人が俺と同じ部屋になるぞ」
「……じゃあさ、ジャンケンで誰がダリウスと同じ部屋に泊まるか決めない?」
「私はそれでいいと思う」
「あたしも賛成」
ジャンケンの結果、ヴィオラが俺と同じ部屋になった。
普通こういうのは負けた人間が同じ部屋になると思っていたがヴィオラはジャンケンに勝利している。
俺の常識がずれているだけという可能性もあるので深く考えないでおこう。
大浴場での入浴を終え各自で自由に過ごす時間がやってきた。
ヴィオラは既に布団に入って寝る準備をしている。
「もう寝るのか?」
「ううん、準備してるだけ」
別に今寝る準備をするのは自由だが問題は服装にある。
「なんでお前はシャツ1枚しか着てないんだ」
今のヴィオラは白いTシャツ1枚と下着だけの非常に無防備な姿をしている。
なんというか、男と2人きりの部屋でその格好は流石にまずいんじゃいかと思う。
「寝る時にしっかり服着る必要ある? むしろ全裸でもいいと思ってるんだけど」
「思っているだけで行動に移さないところだけは評価する」
その後は2人で寝る時間がやってくるまで雑談を続けた。無口なヴィオラとここまで話す機会はあまりないので特別な時間を過ごせた。
「楽しい時間は過ぎるのが早いね」
「ヴィオラが楽しいと思えているならよかった」
「ダリウスは楽しくないの?」
「もちろん楽しいぞ」
「そう、よかった」
「ふあ~、おやすみぃ~」
「ああ、おやすみ」
ヴィオラ……というか女性と同じベッドで寝るのは前世を含めてもこれが初だ。
まあ……悪くない。
それにしても、ヴィオラも俺と寝ることを全く嫌がらなかった。
アリスとセレナからの好感度が友達以上恋人未満くらいに高いことには気づいていたが、ヴィオラからの好感度も意外と高そうだ。
ヴィオラはこちら側に顔を向けて快適そうに眠っている。
こうして近くで見ると本当に整った顔をしている。
こういう顔を世間では美人と呼ぶのだろう。
ヴィオラが安眠できているのを確認したので俺もそろそろ寝るとしよう。
「うへへ、ダリウス~、嬉しい。もっとやって~」
……一体どんな夢を見ているんだ。
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