第27話 新たな絆の始まり

 魔法協会にクエストを依頼された次の日、アルテナにとある場所へ来てほしいと呼ばれていた。


 すっかり外は暗くなり街頭と家の中から漏れる明かりだけが道を照らしている。


「いや~、今日は一日中家でゆっくりしたかったんだけどな~」

「せっかくの顔合わせだ、料理もあるらしいしそう気を落とすな」



 アルテナに指定された場所までやってきた。

ここは薄暗い路地裏で、犯罪者がいても疑問に思わないほど怪しい雰囲気を放っている。


「ほんとにここであってるわけ?」

「ああ、間違いない」


 路地裏の途中にあるドアをノックする。

ノックに反応したようで中から足音が聞こえてくる。


「やあ、待っていたよ。早速中に入って」


 ドアを開けたのはアルテナだった。

言われた通り中に入ると一般的な部屋が広がっている。


 一般的な部屋だと思ったが細かいところまで見ていると生活感があまりない気がする。

まるで時々しか家に帰れない過酷な仕事をしている人間の家のようだ。


「なんかこの家ってちょっと生活感ないですね~。アルテナさんはあまり家にいないんですか?」

「ちょっとアリス、そういうのはあんまり聞かない方がいいわよ」


「実はここは私の家ではないんだ。パーティの拠点のように使っている」


 一旦話が終わると奥の部屋へ案内された。

そこはリビングのようになっていてソファーには2人の女性が座っている。

おそらくこの2人がアルテナのパーティメンバーなのだろう。


「今日の客人だ。2人とも自己紹介を」


「了解、私はラウル。アルテナのパーティメンバーで、趣味は食べることです。よろしくね」


「じゃあ次は私ね。私はルナ。ラウルと同じくアルテナのパーティメンバーやってます。基本的に遠距離戦闘が得意です」


 こちらからもの自己紹介も終わらせ、良い関係を築くためにこれから共に食事をする。



「好きなだけ食べてくれていいからな」

「アルテナはうきうきで料理作ってたからいっぱい食べてあげてね」

「ラウル。そういうことは言わなくていい……」



 全員で飲み物の入ったグラスを持ち、こういう時にかならずやるあれをやる。

「「「「乾杯!」」」」



「うーん、美味しい~」

「ははっ、そういってもらえると作ったかいがある」


 なかなかの美味。

Sランクパーティのリーダーは家事もSランクらしい。


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