第26話 オブリビオンの拠点

 今日も前のように魔法協会の本部に呼ばれている。

前回やった村の調査のクエストで結果を出したことによって次のクエストを任せることにしたのだろう。


「今日は何の用だろうね」

「新しいクエストかも」

「もしそうならあたしたちは信頼を勝ち取れたってことね」



 また前回と同じ会議室に案内された。


「初めまして、お待ちしておりました」

今日待っていたのは前とは違う2人の男女だった。


 上層部の人間は普段何をしているのだろうか。

……いや、知らない方がいいこともある。あまり考えないでおこう。


 見た目からして真面目そうな女性が口を開いた。

「今回も極秘のクエストを依頼したいのですがよろいしでしょうか?」

「先に内容をお話しください」


「……そうでしたね、すみません。今回依頼したいクエストの内容はオブリビオンの拠点の壊滅です」


「オブリビオンの拠点が見つかったんですか?」

アリスが横から質問を投げかけた。


「はい、オブリビオンは確実に勢力を拡大していますが、拡大すればするほど足跡が残りやすくなります。そして今回は運良くその足跡を追うことができました」


「そんな重要なクエストをオブリビオンの件に関わって日の浅いパーティに依頼するんですか?」


「はい、ダリウスさん。確かにあなたの言う通り他に適したパーティがいるかもしれませんね。ですが今回はアルテナさんのパーティからそうしてほしいとの要望があったので」


 少し前にアルテナと食事をした時、機会があれば一緒にクエストを受けようという話をしていた。

それがこのクエストなのだろう。


 横に無言で座っていた男が立ち上がり4枚の紙を持って歩いてきた。


「これにクエストの概要が乗っています。ご確認ください」

「ありがとうごさいます」


 そこに書かれていたのはアルカディア北側にある長期間放置されて荒れた洋館が拠点となっているということだった。


「それで、依頼は受けてもらえますか?」


 アルテナとの約束がある上、さらに評価を上げるチャンス。

この依頼を断る理由は一切ない。


「ええ、受けますよ」


「この拠点にはおそらくリーダー格の人間はいないでしょうが、幹部レベルの人物がいる可能性はかなり高いです。しっかり計画を練って決行の日に備えましょう」



 少し長かった会議が終了し、魔法協会本部から出てきた。


「今回は結構規模の大きいクエストになりそうだね」

「強くなったあたしを見せるチャンスね」

「体調管理と準備は欠かさないようにな」








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る