第24話 最悪の2人
ダリウスたちが小さな村でのクエストを終えた2時間後。
アルカディアのどこかにある小さな拠点でガスマスクの女性と紫髪の少女が会話していた。
「結局あんまり実験にはならなかったなー」
「相手が悪かったのかも」
「大量の戦闘データを記憶させたから戦闘面は期待できるって言ってたのにそこまでだったんだよね」
「いくら知識があっても体はただの村人だから仕方ないと思う」
「まだ集めた人間はたくさん残ってるからまた調整して新しいの作るんだってさ」
「趣味の悪い実験だよね」
「そう? 私はすごく良くて面白いと思うけど」
「400年前の人とは価値観が合わないね」
「400年前の記憶ほぼないけどね」
「そういえばさ、あなたのことってどう呼べばいいの?」
「ガスマスクしてるから身体的特徴から呼び名がつけられなかったのかな。うーん、とりあえずV(ヴィー)とでも呼んで」
「V? 名前にVが入ってるとか?」
「もしかしたらそうかもね。次はあなたの呼び方を決めたいかな」
「私? 私は自分の名前覚えてないからあなたにつけてもらおうかな」
少女の衝撃的な告白に驚きつつ、女性は名前を考え始めた。
「いい感じの名前にしてね」
「……………………」
少女は期待の表情でVを見つめている。
「……アザレア……とかどう?」
「アザレア……うん、すごくいいね。ありがとう」
「そういえばVはギルド襲撃の件は知ってる?」
「もちろん」
「あれっていつだったっけ」
「7月17日。それまで後2ヶ月くらい」
「Vも参加する予定だったりするの?」
「うん、色々裏でやる予定」
「オブリビオンの名前が世界中に知られる大事件になりそうだねっ。私楽しみだよ♪」
「ギルドのセキュリティはあなたが思ってる数倍は厳重だから準備はしっかりね」
アザレアは部屋に用意されているダーツで遊びながら次の話題に移った。
「ふふっ、あのダリウスっていう魔導師はすごく強そうだったなー」
「ダリウス? そんなに強かったの?」
アザレアの姿を見てソファーに座っていたVも立ち上がりテーブルに置かれたダーツを手に取った。
「とにかく速かった。気づいたら殺されてたんだよ?」
「ちゃんと対策すればきっと戦える。アザレアにはあの……アビス? みたいなやつを生み出すエーテルマギアもあるし」
「アビスであってる。でもアビスは知性が無いから1体ずつで見るとすごく弱いよ」
「それでもアザレアの命令には従うんだ、不思議。あっ、ダーツ真ん中に刺さった」
「ずるい、私も当てたい」
「まだ早いかも」
「子供扱いしないでっ!」
「ごめんごめん」
アザレアは咳払いをして脱線した話をもとに戻した。
「今回の襲撃にはどれくらいの数が必要になりそうかな」
「多分数はどうでもいい。ギルドには魔導師がたくさんいるからすぐに片付けられる」
「量より質ってこと?」
「そういうこと」
「じゃあ私、頑張って強いアビス作るね」
「私も裏工作頑張る」
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