第22話 不気味な少女

 さっきの少年には重めの蹴りを入れたのでまだ立ち上がってはこない。

おそらく骨が何本か砕けている。


「3人はあいつらを相手してくれ。あの少女は俺がやる」

「そんなにやばそうなの?」

「ああ、かなりやばそうだ」

「ふふっ、あたしたちに任せなさい」

「頼んだぞ」


 アリスたちに他の敵を任せ俺は少女に集中する。

「わざわざ戦力を分散させてまで私を殺したいの?」

「不安要素の排除は基本中の基本だ」

「そっか。まあ頑張れ~」


 人の神経を逆撫でする言動。相手が俺でなければ意味があったんだろうな。


「まあ私は別にあ……」


 少女が話し終わるよりも早くブレスレットから変形させた剣で少女の首を切断した。


「そんなに焦らなくてもいいでしょ。あなたの仲間は頑張ってるんだから」


 切断した首はまだ生きていて、さらにはまだ俺に話しかけてくる。

「……気持ち悪いな」


 今度は剣に火炎をまとわせ体をバラバラ

に斬った。


 流石に今度は生命活動を停止したが少女の死体は服まで灰となって消滅していった。


 これが少女のエーテルマギアなのか。

得られた情報が少ないので少女のエーテルマギアは分身を作り出す魔法と考えておこう。


「ダリウス~、こっちは片付いたよ~」

「アリスはほとんど何もしてない」

「あたしは余裕だったわ」


「こっちも終わったぞ」

「予想通りやばかった?」

「ただの分身だったな」


「さて、さっきの4人は事件があってからこの辺りを管理している協会の人間に押しつけておこう」


 倒れている1人に触れようとした瞬間、4人全員の体が一気に膨らみそのまま爆発した。


「ば、爆発っ!? ダリウスは大丈夫なの!?」


「心配しなくていい。俺は大丈夫だ」


 ずいぶん趣味の悪い嫌がらせだ。これもあの少女がやったのだろう。


「今私が仕組んだって思ったでしょ」


 アリスたちの後ろから聞こえてきたその声はさっきの少女のものだった。


「なんで……ダリウスが倒したんじゃ」

「まあ私がやりたかったのはあなたたちへの攻撃よりも証拠の隠滅だけどね」


「あの4人が何の証拠になるんだ」

「自分で考えれば? じゃあ私はそろそろ帰るね」

「帰すわけないだろ」


 今回の少女もバラバラに切断し、死亡すると消滅した。


「あの子はオブリビオンの構成員なの?」

「間違いないだろうな。これはギルドにかえって報告しなければならない」


「ならもう帰りましょ。あたしはもう限界よ」

「セレナ、魔力は残っているか?」


「……おんぶしてくれない?」

「さっきは余裕だとか言ってなかったか?」

「いいからおんぶして!」

「はぁ……」








 


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