第21話 極秘のクエスト
「この件はくれぐれも口外しないように頼んだぞ」
「ええ、もちろんです」
協力を快諾した後、早速上層部からクエストを1つ依頼された。
内容はアルカディア郊外の小さな村の調査。
その村は一夜にして焼け野原と化したとのことだ。
それだけならグリム・ディザスターやエーテルマギアの暴走などの可能性が考えられるが今回の事件には1つ不審な点が存在している。
それは死体が一切見つかっていないこと。
まるで始めから人など存在しなかったかのように何の痕跡も残されていない。
この異常な事件が最近活動が少しずつ活発になってきているオブリビオンが関係している可能性があるので俺たちが調査することになった。
「いきなり極秘のクエスト頼まれるって私たち初めから結構信頼されてる?」
「いや、その逆だ。関連性が不透明な事件だからこそ信用されていない俺たちが選ばれたんだろう」
「なにそれ!? ただのパシりじゃん!」
「仕方ないだろ。重要なクエストを任されるのはまだこれからだ」
郊外だから移動に少し時間をかけてしまった。
「3人とも魔力の残りは大丈夫か?」
「うん、みんな問題ないよ」
「よし、なら調査を始めるぞ」
早速立ち入り禁止の看板が立てられた村の中に入っていこう。
「この世の終わりみたいな光景だね」
アリスの言う通り家も畑も何もかもが焼き尽くされた光景が広がっている。
「ここを調査して何か見つかるなんて私にはとても思えないわ」
「私もそう思う」
4人で手分けして色々な場所を調べてみるがオブリビオンに関係していそうなものは何も見つけられなかった。
今は4人で開けた場所に集まって休憩している。
「ダリウス~、私ちょっと疲れた」
「あたしも」
「私はまだ大丈夫」
……!
一瞬後ろに気配を感じ振り返ってみるがそこにあるのは焼けて崩れ落ちた建物だけ。
……気のせいか。
「どうかしたの?」
突然後ろを振り返った俺にアリスが反応した。
「いや、なんでもない」
「ならよかった」
「ねえ、もう何も残ってなかったってことで帰らない? あたしたちはやれるだけやったんじゃない?」
「そうだな、この辺で終わりにするか」
後はギルドに帰るだけだと思い気を抜いたその瞬間、後ろからさっきと同じ気配を感じた。
「ダリウス! うし……ろ……」
アリスが言い終わるよりも速く俺は反応し、身体強化を込めた回し蹴りを気配の正体に食らわせた。
「少し反応が遅れたな」
「十分速かったよ……」
回し蹴りが直撃し倒れ込んでいたのは1人の少年だった。
歳がいくつだろうが攻撃してきたということは敵で間違いない。
「お前は一体何も」
「すごい反応速度だね」
「……」
俺の言葉を
「リーダーの予想通りほんとに調査しに来たね」
俺の目の前に立つ紫の長髪を揺らす少女は確かに無防備だ。無防備なはずだ。
だがどこか不気味さを感じる。
こんなところに少女がいること、あるいは少女そのものにだろうか。
「ほら、あなたたちもあの子と一緒に戦お?」
少女がそういうと崩れた建物にできた小さい隙間から3人の男女が出てきた。
今のは物と物の隙間を入り口として空間を生成するような効果のエーテルマギアか。
「来るぞ」
こちらの3人も既に戦闘の準備はできている。
「ふふふっ、実験の始まりだね」
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