第18話 400年ぶりの自由
ダリウスたちがグリム・ディザスターの任務を終えてから3時間ほど後。
紫髪の少女、そしてガスマスクとパーカーのフードで顔を隠した1人の女性がアルカディアを歩いていた。
「どこに行くつもり?」
「目的地なんて無い。私は最近自由になったばかりだから地理には詳しくないの」
「何かやりたいこととか食べたいものは?」
「まだ無い。今の世界を知ってから考える」
「それなりに手持ちはあるから何かあったら言っていいからね」
「ありがとう。どうせもうすぐ無くなる世界だし今のうちに満喫しておかないとねっ」
2人がアイスクリーム店の前を通った時、ガスマスクの女性がその店に興味を持った。
「当てがないならここ行かない? アイスは甘くて美味しいよ」
「アイス……? 400年前はそんなものあったっけ? ……もう覚えてないね」
「アイス食べながら移動する?」
「それいいね」
「それじゃあ持ち帰りで買ってくる」
「はい、聞いてなかったけどバニラで良かった?」
「あれ、不審者扱いされなかったんだ」
「ちょっと変な目で見られただけ」
「それにしても、どうしてリーダーは最終目標にしてる世界終焉の回避を公表しないのかな?」
「方舟……って言えばいいかな」
「私にも分かるように言って」
「救える人数には制限があるってこと。それに私たちは選ばれた」
「ふーん。そのはこぶね? の結果はどうでもいいけど私を400年あんな暗い檻に閉じ込めたこの世界に復讐できるならそれだけで十分かな」
「憎悪に取り憑かれたみたいな言動だね」
「取り憑かれてようが私はやりたいようにやるだけだから」
「そう。あなたは自由でいいね」
「あなたは不自由なの?」
「うん、すごく不自由。矛盾や葛藤を抱え続けて生き続けてる」
「あははっ、それは辛いね」
「うん、辛い」
「私はこれから世界を終わらせるための準備を始めようかな」
「流石アポカリプスだね」
「多分半年から1年あれば終わらせられるかな」
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