第15話 ほぼ通い妻
先ほどのクエストを終え、今日のパーティーでの活動はここまでとなった。
「ねえねえダリウス、一緒に買い物行かない?」
「クエスト終わりの今からか?」
「食料品の買い出しだよ」
「そうか、なら行くとしよう」
今日は考えなければいけないことが多く疲れたので早く帰りたいと思っていたが仕方ない。
「ダリウスって好きな料理とかあるの?」
「あまり食事には興味が湧かなくてな。これと言って好きなものは無い」
「つまんなーい」
「つまらなくて悪かったな」
「別に悪くないけど」
「何なんだお前」
「ふふふっ」
「……」
最近は外食で適当に済ませることが多かったので久しぶりの買い物だ。
「なんだかこうしてると私たち、夫婦みたいじゃない?」
「だからどうした」
「ダリウスはノリ悪いね~。もっと
俺が本当に20年ちょっとしか生きていなければそういう反応が期待できたかもしれないな。
「ダリウスは結局ほとんど何も買ってないね」
「自炊は面倒なんだ。栄養バランス含め外食で事足りる」
「そういうの良くないよ。癖になっちゃうから」 「癖になることの何が悪いんだ?」
「それだと食事が楽しみじゃなくてただの作業として済まされることになるから満足感とか充実感が得られなくなっちゃうんだよ」
「俺は十分食事に満足している」
「外食ばっかりだからそう錯覚してるだけ! 今日は私が料理作るから食べて!」
そういうとアリスは俺の家の方へ向かって右手に持った袋を揺らしながら走っていった。
あれだけ揺らせばきっと袋の中の卵は……。
「あははっ……。ダリウスごめん、卵料理のフルコースになりそう……」
「あれだけ袋を揺らせばそうなるだろうな」
「うぅ……私としたことが気持ちが舞い上がっちゃった……」
「気持ちが舞い上がる要素なんてどこにあるんだ?」
アリスははっと驚いた顔をしながら口を両手で塞いだ。
「…………別に?」
「そうか、ならいいんだ」
アリスは慣れた手付きで割れた卵を次々と料理にしていった。
「できたー!」
卵かけご飯、卵焼き、ハムエッグ、オムレツ、スクランブルエッグ。
アリスが言っていた通り卵料理のフルコースになった。
「ここまで卵だらけになるなんて自分でもびっくり。飽きたら残してもいいからね……」
「いや、いただくよ。これほど食欲をそそられる料理は久しぶりだ」
「嬉しい、作って良かった」
その後、料理は2人で全て食べ尽くした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます