第12話 ヴィオラとトレーニング
今日はクエストを終えたのでギルドの食堂で4人の時間を過ごした後、そのままの流れで解散した。
「じゃあ、行こっか」
「ああ」
今はヴィオラとトレーニング施設へ向かっている。ちなみにアリスとセレナは既に帰った。
「こうして2人になるのは久しぶりだな」
「そうだね」
「今日の任務はヴィオラ的にどうだった?」
「……戦闘系のクエストが私に一番向いてるかもって思った」
「職業体験でやった探し物のクエストはあまり好みではなかったか?」
「うん、私は不器用だからそういうのはちょっと苦手」
「これからは考慮するよ」
「……優しいんだね」
ほんの少し目を見開き横顔でも驚きが伝わってくる表情を見せた後ヴィオラはそう言った。
「でも、別にそんなことしなくていいよ。私たちは4人のパーティーなんだから」
「そうか」
しばらく会話を続けながら歩き、トレーニング施設に着いた。
「剣術のトレーニングだっけ」
「ああ、パーティーで剣術に精通しているのはヴィオラだけだからな」
ヴィオラの剣術は幼少期から刀を振り続けてきたのかと思うほどに洗練されている。
魔法の方は平均程度だが、ヴィオラはまだ100%の力を発揮していないように思う。
しかし、これは俺の勘でしかないから実際どうなのかは分からない。
「私の武器は剣じゃなくて刀だからあんまりいい相手にはならないと思うけど」
「相手を斬るという点においてはどちらもそこまで大差ないだろう」
「まあ、ダリウスがそれでいいなら私は別に気にしないけど」
今回利用するのは剣術のトレーニングをするためのフィールドだ。
「準備はいい?」
「ああ、問題ない」
全身の隅まで魔力を流し身体強化を行い、訓練用に用意されている木製の武器をお互い構えて位置につく。
お互い心を呼んでいるかのように同じタイミングで踏み込み武器を振るう。
カンッと勢いよく木製の武器がぶつかりあった音が鳴り響く。
今のヴィオラはエーテルマギア無しの身体強化なので俺と同等の身体能力となっている。
一撃、さらにもう一撃。
なんども打ち合い、距離を取っては再び打ち合う。
カアアアンッ
これまでで一番大きな衝突音が鳴り響き、ヴィオラの手から木製の刀が弾き飛ばされた。
「流石ダリウス。強いね」
「一瞬の隙をついた連撃にフェイント。入学試験の頃から思っていたがなぜそれほどに優れた剣術が備わっているんだ?」
「それ、私より強いダリウスが聞くの?」
「俺は偶然環境が整っていただけだ」
「私も同じような理由。教えてくれる強い人が知り合いにいたってだけ」
トレーニングを終え、2人でギルドの出入り口をくぐった。
「私は買い物して帰るからこっちから帰る」
「そうか。今日は付き合わせて悪かったな」
「別にこれくらいならいつでもいいよ」
「じゃあ、また明日ね」
「ああ、また明日」
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