第9話 フィーナの案内

 受付のフィーナに案内されこれからギルド内の設備を見ていく。

「ここが医療エリアです。その場で治せないダメージを負った場合などにここに運ばれます。魔導師は人によっては心を削られる職業ですのでカウンセリングもここで受けられますよ」

「あんまりお世話にはなりたくないね……」


 このフィーナという受付、少しアリスと似た雰囲気を感じるが仕事はしっかりできるタイプなのだろう。


「ここは広場です。他の魔導師たちと情報を交換したり、パーティー同士の協力関係を結んだり、休憩スポットなどの幅広い用途で使われているので皆さんも是非利用してくださいね」


 広場の真ん中には洒落た噴水まで設置されている。そしてその周りで何人かの魔導師と思われる人間が会話している。


「まるで1つの町みたいね」

「中央魔法協会本部としての機能や魔導師たちをサポートする施設などをここに詰め込んだ結果このようになったそうです」

「ふむふむ」


「それではそろそろ次の場所へ向かいましょう」


 再びフィーナに先導され次の目的地へと出発した。

「ここは食堂です。昼食などはここで取れるのでたくさんの人が利用するんです」

「ここって今日は開いてるんですか?」

「はい、基本的に毎日開いてます。よければ今日の昼食の時にどうぞ」

「ダリウス、今日の昼食ここで食べようよ」

「よし、そうしよう」


 ここはメニューくらいしか見るものがないので数分あれば十分だ。

「そろそろ次に向かいますか?」

「よろしくお願いします」


 次は少し研究所のような見た目をした建物へとやってきた。

「ここではプロの魔導技師に色々な相談ができます。武器に関すること、サポートしてくれるアイテムのことなど、魔導師が使う道具の相談ならなんでもござれという感じです」

「ここは武器が破損した時なども対応してくれますか?」

「もちろんです。その武器が現代の技術ではどうにもならない古代兵器とかでない限りは」

「それは頼りになりますね」

「ダリウスさんはどのような武器をお使いなんですか?」

「一般的な剣です」


 そういってフィーナに右手首のブレスレットを見せた。フィーナは納得したように頷いた。


「それではそろそろ最後の場所へ向かいましょうか」

次の目的地が最後のようだ。ここまでたくさんの設備が揃っていれば魔導師たちもモチベーションを保つのはそう難しいことではないだろう。


「着きました。ここが最後の目的地、トレーニング施設です」

今度の建物はドーム状になっている部分の横に平らな建物がくっついた形をしている。

「こちらのドームではより実戦トレーニングを積むことができます。仲間や他のパーティーと実力を高めあうのもいいでしょうね。もし何かあったときのためにとなりに医療エリアがある立地になっています」


 ドーム状になっていた部分から出てそのまま繋がっている横の建物に移動した。

「ここでは色々なトレーニングマシンで体を鍛えることができます。気が向いたらぜひここでトレーニングをやってみてくださいね」

「大きいプールもあるし運動にも全く困らなさそうだね」

「アリスさんも良ければ泳いでみてくださいね」

「だってさ、ヴィオラ」

「私も泳ぐの?」

「その時は一緒にね」

「……うん」


 こうしてギルド内を一周し最初の受付のロビーまで戻ってきた。

「お疲れ様でした」

「いえいえ、フィーナさんこそお疲れ様でした。非常に分かりやすい案内、感謝しています」


「本格的に任務に参加するのは明日からでも問題ないのでギルド内を散策してみるのはいかがでしょうか」

「それいいねフィーナさん。皆もそれでいい」

「ああ」

「うん」

「いいわよ」


 こうしてギルド内を自由に巡っている内に初日は終わりを迎えた。


 

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