第7話 3年の時を経て
「早いね。もう3年経っちゃったよ」
「そうだな。確かにあっという間だった」
「あの時の約束、2人は覚えてるかな」
「案外もう先に行ってるのかもしれないな」
「途中ではぐれてなければ4人で楽しくカフェまで行けたのにね」
「俺と行くのはつまらないか?」
「ううん、4人の方が楽しいってだけ」
3年前から行きつけのカフェにやってきた。相変わらず良いベルの音だ。
「いらっしゃいませー、お好きな席どうぞ」
あの日4人で座ったテーブル席。そこには既に2人があの日と同じ位置で座っていた。
「待ってた」
「あたしはもう忘れたのかと思ってた」
「悪いな、アリスと2人で話ながら歩いていたら少し時間がかかってしまった」
「私が歩くの遅いみたいじゃん」
俺とアリスももちろんあの日と同じ位置に座る。
席は同じだが、全員3年前に比べて心身共に成長している。
「ご注文お決まりでしょうか」
この女性店員も3年前に比べてより大人っぽい色気が出ている。どこにとは言わないが。
「俺はブラック1つ」
「私はカフェオレ砂糖無しで」
「私はメロンクリームソーダ」
「あたしもブラック1つ」
女性店員が戻っていき4人だけの時間となった。
「セレナってブラックコーヒー飲めたんだ。知らなかった~」
「味覚も時間が経って変わってきてるだけだから別にそこ気にしなくていいでしょ」
「俺達も来年から魔導師だな」
「全員魔導師就職の推薦も貰えてるし、将来安泰だね」
「ヴィオラ以外のあたしたちはちょっと危うかったけど」
「特にアリスは実技の成績が怪しいラインでヴィオラに特訓してもらっていたほどだったな」
「それは本当に感謝してる。ありがとね、ヴィオラ」
「どういたしまして」
「ヴィオラはすごいよね」
「何が?」
「入学試験の時からずっと実技試験の成績がトップなところとか、私に特訓してくれた時の教え方がベテランの教師みたいに上手かったところとか、成績トップを維持する努力をしながら人を助けられる余裕があるところとかかな」
「そう思ってくれてるなら嬉しい」
「ご注文の品をお持ちしましたー」
それぞれ店員から注文の品を受け取りドキドキ飲みながら会話を続けていく。
「全員推薦貰えてる私たちならギルドからのクエストもしっかりクリアできそうだよね~」
「初めの内はそこまで難しいクエストを受ける必要はないだろう」
「色々やっていって評価アップに繋げないとね」
「まあ、そんな難しいことは別に今考えなくてもいいんじゃないか? 今日は卒業式で緊張して疲れただろう。ゆっくり休むべきだ」
「じゃあ4人で適当に雑談でもしよっか~」
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