第6話 4人の原点

 午後3時、入学試験が終了し受験者は帰路についていた。

そんな中俺は校門前で人を待っている。


「ごめーん、ちょっと遅くなった」

「気にするな」

「あんたがダリウス? で、そっちの子がヴィオラだっけ? 私はセレナ、よろしくね」

「ああ、こちらこそよろしく」


「よし、4人揃ったし行こっか」

「ああ、そうしよう」


 学院から徒歩3分。学院の生徒が利用しやすい位置にあるカフェについた。

落ち着いた色の外装、ストレスを感じない程度の客足。コーヒーの味次第でここはこれからも利用させてもらおうか。


「おしゃれなカフェ」

「テーブル席もあるからそこに4人で座っちゃおー」


 店の入り口のドアを開けると耳ざわりのよいベルの音が店内に鳴り響いた。


「いらっしゃいませー、お好きな席どうぞ」

人当たりの良さそうな女性の店員がベルに反応した。


 先ほどアリスが話していた通りのちょうど4人が座れるテーブル席に俺の横にアリス、向かい側の俺の前がヴィオラ、そしてヴィオラの隣がセレナという配置で座った。


「ご注文お決まりでしょうか」

「俺はブラック1つで」

「私はカフェオレ甘さ強めで~」

「私はメロンクリームソーダ1つ」

「あたしはコーラ」


 店員は注文を確認し戻っていった。


「今日はこうして集まれてよかったよ」

「それは解散する時に言うセリフだろ?」

「あれ、そうだっけ」

「まあいい、それより今回は顔合わせで集まったんだったな。自己紹介でもするか?」


「まずは俺から。俺はダリウス、エーテルマギアは影の実体化と操作だ」

「それだけ?」

「他に話すこと無いだろ」

「趣味とか?」

「無い。次」

「ええーっ、じゃあ私がやる。私はアリス、エーテルマギアは触れた人間の精神、記憶を自由に操れる。あんまり戦闘向きではないかな」


「次は私が。私はヴィオラです。出身は隣国のフィリスタルで最近この辺りに引っ越してきました。エーテルマギアは身体強化で、体に魔力を巡らせる普通の身体強化と併用することでより強力になります」


 試験で見せたあの異常な身体能力も魔導師なら必修の魔力を体に巡らせることによる身体強化プラスエーテルマギアによるものだったということだろう。


「じゃあ最後はあたしか。あたしはセレナ。昔からアルカディアに住んでて家も学院から結構近い。エーテルマギアは引力と斥力の操作で、自分のエーテルマギアには結構自信あるつもり」


「2人は魔導師志望なの?」

「魔導技師志望ならさっきの試験は受けてないだろ」

「確かに、そういえば魔導技師の試験は別日だったね」


 魔導技師とは魔法を使用した技術や新たな魔法の開拓、魔導師をサポートするアイテムの設計などを行う職業のことだ。

魔導師と魔導技師では求められる力が全く違うため入学試験もそれぞれで分けられている。


「4人とも魔導師志望ならさ、将来は私たちでパーティー組まない?」


 魔導師は基本的に何人かでパーティーを組んで、魔導師が所属する中央魔法協会などからの依頼をこなすことで報酬を得る。

だからこそ学生の間に他者と仲を深め、将来のパーティーメンバーにするのは重要なことだ。


「私は反対しません」

「あたしも別に他に良さそうな集まりがなければそれで問題ないわね」


「この4人で魔導師として活動している姿を想像すると夢が膨らむね~」

「気が早すぎるぞ。まだ合格発表もされてないというのに」

「私たちならきっと合格してるよ」


「卒業したときにまたこのカフェで、そしてこの席で4人集まれるようにしようね」

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