日常

 無事に紅魔の牙が組織として崩壊し、オルスロイ王国の革命を終わらせられた。

 それに伴い、続々とうちが出した騎士のみんなも戦闘経験を積んで帰ってきてくれた。

 戦況としてはずっと圧倒的だったおかげで、彼らは誰一人も欠けることなく帰ってきてくれた。


「あー、大変だった」


 それにしても、本当に大変だった。

 乏しい戦力を駆使して、戦況を操作し、ゲームでも厄介な敵として出てきた紅魔の牙と真正面から向き合って、矛を向け合う。

 割と地獄だったと評しても良かった。

 それに、僕も自分の命だって懸けた。

 紅魔の牙のトップであるオルモの前に立った時は泣きたくなるほどに怖かったし、あいつの風圧だけで吹き飛ばされた時はアドレナリンが大量の分泌された上でめちゃくちゃ痛かった。

 本当に、本当に……大変だった。

 こんなの、元々はただの高校生だった僕がやることじゃない……。

 それでも、だ。


「でも」


 僕は自分が座っている椅子から、窓の外を眺める。

 自分は既に、オルスロイ王国からロロノア男爵領の方に戻ってきている。


「……良かった」


 窓から見える外の景色。

 ロロノア男爵領には平和な様子が広がっていた。

 領民たちが笑顔を浮かべ、いつもと変わらない日常を送っていた……彼らの生活を、僕は無事に守ることが出来たのだ。

 僕は当主として、民の為に動き、そして、それが身を結んだ。結ばせることが出来たのだ。


「頑張った、甲斐があったものだね」


 僕は無事に守られた領民たちを前に、笑みを漏らす。

 一人、僕は達成感に酔いしれ、そして、領民たちを守られたことに対して安堵していた。

 そんな中で。


「失礼いたします」


 いきなり、僕がいた執務室の部屋の扉が開かれる。


「……ッ!?」


 それに驚いて僕が窓の方から、開かれた扉の方に視線を向けると。


「ルーナ王女殿下……っ!?」


「はい。お久しぶりですね、ロロノア卿。お邪魔いたします」


 それで、自分の視界に映るのはオルスロイ王国にいるはずのルーナ王女殿下だった。

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