知られていた
何故か、周りから過大評価されている僕。
紅魔の牙であるトップたるオルモも知らなかった僕の本当の実力、正体。
ただの実力がない雑魚であるというその事実は、何故か多くの人の知るところにはなっていなかった。
それでも、僕はあえてその謎の高評価を利用して動いているようなところもあるし、マリエとフェーデの二人も架空の僕を見て、ついてきているものなのだと勝手に思っていた。
それでも、僕の本当の実力をオルモとの対面の時に見せてしまった。
もう、誤魔化しは聞かない。
「んっ、えっ?」
勇気を振り絞って、本当の自分について口にした僕へと、マリエとフェーデの二人は何て言った?
『何を今更そんなことをおっしゃっているのですか?ですから、私たちは一番最初に御身を一人にすることへと反対したのですよっ……その上で、くっ』
『何の話をしておるのじゃ?おぬしが強い要素なぞないじゃろう』
まるでさも、最初から知っていたかのような……。
「……まさか、ディザイア様。私たちを周りの本当のディザイア様を見ようとしない節穴たちと同レベルだと思っておられたのですか?」
「ドラゴンたる我の前で力を偽るなんて不可能ぞ!……そんなことも、知らぬまでに我のことを知らなかったのか?ん?」
「い、いや……まぁ」
こちらへと追及するような言葉を口にする二人を前に、僕は目を泳がせながら頷く……えっ?違ったの?
「はぁー」
「我は悲しいぞ」
「うぅ……ごめん」
な、なんか思っていたのと違う。
「私たちの前で背伸びをする必要なんてないんですからね?私はどんなディザイア様であっても受け入れますから」
「うむ。まったくもってその通りじゃ。少しのことで失望すると思っていたのなら、それは我らへの侮辱ぞ?」
「うぅ……」
「それに、何でしたら、毎日のように執務室で唸っておられる声も聞こえていますから。毎日のように弱音を吐きながら不満を垂れているディザイア様を前に、私たちは自分たちの至らなさを反省する日々でしたよ」
「あれだけ毎日弱音を吐いている姿を見て、強いと感じることは出来ないぞ」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええっ!?」
一人で吐いている弱音。
それすらもすべて聞かれていた。
その事実を知り、僕は驚愕の言葉を漏らすのだった。
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