格の違い
ディザイアの要請を受けて動き出したマリエとフェーデ。
その二人の力はまさに圧倒的だった。
他を寄せ付けることのない絶対的で、絶望的な力。
それが二人の持つ力だった。
「馬鹿なっ!?ありえないっ!!!どうして、どうして、既に最終防衛ラインをも破壊されそうになっている!ここは我らが組織の精鋭が集まる、重要拠点だぞっ!敵は何人いるのだっ!」
紅魔の牙が占拠している一つの城。
各地に物資を補給するに適した場所へとあり、世界連合軍と戦うための物資が大量に保管されているその城は今、襲撃を受けている。
その城を守る指揮官に任じられている男は今、崩壊しているその城の防衛を前に悲鳴を上げる。
「ひ、一人です……」
「はぁっ!?」
「相手は、一人、なのです……ただ、一人の剣が振るう。一つの剣で、我らがここは、崩壊しています」
「馬鹿な、そんなこと……」
指揮官である男は己へと現状を報告する者の言葉を聞いてありえないとばかりの表情と声色で言葉を話す。
「ここでラストですか」
そんな指揮官のいた部屋。
そこの扉が激しい音を立てて吹き飛ばされていくと共に、この場へと一つの声が響いてくる。
そして、鈍色の光が差し込んでいた。
「……ぁ、あ、あぁぁぁ」
「ひぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」
「出たぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!?」
城へと襲撃を仕掛けていた一人の人物、マリエが剣を振るい、この場に血の雨が降った。
城が鈍色の光に照らされ、赤く染まっていた頃。
また、別の場所で。
「ガァァァァァァァアアアアアアアアアアアアッ!」
赤き炎が大地を覆っていた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ!?」
「ドラゴンだ……アハハ!俺はずっと、一度でもいいから、ドラゴンに会ってみたかったんだっ!?ようやく夢がカナッタゾ。あはははははははははははははははははははは」
「お父さん……お母さん……」
紅魔の牙が昔からオルスロイ王国内部に作っていた深い森の中にあった地上へとあったアジト。
そこは今、一体のドラゴンの襲撃を受けていた。
「ガァァァァァァァアアアアアアアアアアアアッ!」
ドラゴンの口より吐かれる灼熱の炎が地上を覆い、森を消失させていく。
そんな圧倒的な暴力を前にして、ただの人が抗えることなど何もない。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああ」
「あははははははははは」
「助けてぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええ!?」
一体のドラゴン、フェーデを前にして、ただただ紅魔の牙のメンバーは悲鳴をあげて逃げ惑うことしかできないのだった。
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