質問
暗くじめじめとした空間の中、大人数で閉じ込められて糞尿は垂れ流し、上からは生命として圧倒的に格が違う竜に睨みつけている。
そんな状況ではさすがの熟練の男たちであっても追い込まれてしまったようだった……まぁ、冷静に考えるとあんな糞尿塗れの激臭の中で睡眠なんて出来るわけないし、追い込まれるのなんて自然なんだけど。
「色々と聞いていきましょうか」
僕はフェーデの魔法で簡単に体を洗わせ、適当な簡素な服を着させただけの状態で椅子に座らせた侵入者の一人を前にして、口を開く。
そんな僕の周りにはいつものようにマリエとフェーデ。そして、地下牢まで一緒してくれていた尋問を得意とする人たちが控えてくれている。
そして、そんなメンバーに加えて、今、この場にいるわけではないのだが……国王陛下とその側近がこの部屋を上から見られるような場所で現在の状況を観覧している。
おかげで、あまり物騒な手を使うことは出来なくなっていた。
「良いですね?」
「はい……」
そんな中で、僕は侵入者の一人へと質問を投げかけていく。
「まず、名前は何でしょうか?」
その間も、フェーデが精神の弱った相手の心を更に弱くするような精神魔法をかけさせている。
「本名は知らない。生まれた時から組織の中で育っていた。ただ、組織から与えられたコードネームならわかる。コードネームはギアスだ」
普段の頃であれば、フェーデの魔法にも心を折られなかっただろう。
だが、既に精神的に憔悴しきっている中だったがゆえに、フェーデの魔法を大きく受けてしまっている侵入者の一人、ギアスはあっさりと口を開ける。
「そうですか。よく答えてくれましたね。それでは、次の質問です。貴方が先ほど言っていた組織とは何のことですか?」
「俺の所属は紅魔の牙だ。現在はオルスロイ王国の革命勢力に扮して活動している」
「……なるほど」
僕はギアスの言葉に頷く。
なるほど、紅魔の牙か……確かに、あそこだったら今回の革命の件も理解できるかもしれない。
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