場違い
使者としてやってきたのが我が国の国王陛下その人だった。
そんな状況を前に大慌てとなった僕は慌てて、自分自ら出迎えに行き、ルーナ王女殿下に待っててもらっている応接室の方へと慌てて案内した。
「お初目にかかります。私はオルスロイ王国スミスカート王朝における王位継承権第六位、第一王女のルーナ・スミスカートと申します」
「これは丁寧にどうも。我はパテーマ王国スチュワード王朝第十三代目国王、カルロ・スチュワードである」
そして、我が家の貧相な応接室で行われるのは一国の国王陛下と革命が起き、多くの王族が処刑された中で生き残っている王女の初顔合わせである。
「……?」
何で?何で、後世で歴史として語り継がれてもおかしくないような会談が今、僕の前で行われているの?
ただの男爵家の当主がこの場に在籍しているのあまりにも場違い過ぎない?
「(……帰りたい)」
我が家の代表はこの場に護衛として帯同しているマリエに任せ、僕は通常責務へと戻りたい欲求を抱えながら、席へと腰掛ける。
「いやはや、難儀な国内状況とお察しする。それと、ご家族のこと、お悔やみ申す」
「ありがとうございます。我が国が何処ともわからぬ組織に嵌められ、革命が起こされた。そんな状況の中で、貴方からその言葉を頂けるのは私にとって大きな支えとなります。心より再度、感謝を申し上げさせてください」
「いや、当然のことだ。我が国とオルスロイ王国は古くより続く強固なものだ。この程度の事では揺るがないとも」
「そう言っていただけると嬉しいです」
「我らの方も既に革命勢力を排除し、あるべきオルスロイ王国を取り戻すために動き出すことを決定している。我らが必ず、力になってみせようぞ」
そんな中でも、国王陛下とルーナ王女殿下の二人はにこやかな雰囲気で言葉を交わし合っていた。
何で、こんな大事な会議に僕が出ているんだ。
自分の仕事だっていっぱいあるのに。勝手にやっていてくれよ。
ルーナ王女殿下を王都の方に運んでくれ。
どうせ、多分、この後、僕が喋ることなんて一度たりともないよ?絶対に。
「そうだっただろう?ロロノア卿」
「はい?」
なんてことを考えていた矢先、急に話が降ってこられた僕は思わずすってんきょうな声をあげてしまうのだった。
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