使者
自分の領地へとやってきた1000人の侵入者。
恐らく、彼らはルーナ王女殿下関連の者たちであると推察しているが、かといって、僕はまだルーナ王女殿下にあの1000人のことを話していなかった。
ほぼほぼ間違いなく、あの者たちはルーナ王女殿下を追ってきた、革命側の勢力だとは思っているのだが、僕もまだ完全にルーナ王女殿下の方を信頼しているわけではない。
全然、ルーナ王女殿下の手勢の可能性もあるだろう。
「ようやくか……」
そんな中で、1000人の侵入者が来てから、三日後。
ようやく、王家の方から使者の方がやってきた。
「遅いわ」
自分の街を王家の紋章をか掲げた旗を靡かせる一団が進んでいっている様を屋敷の方から眺めている僕は率直な感想を口にする。
男爵家に他国の、それも今、一大事となっている王族が逃げ込んできたという情報が入ってきたんだからさぁ……まず、急ぎで誰かしらは送ってきたよ。
何で、王女という存在の処遇を男爵家に任せているのやら。
「んっ、でも、これで今日からは頭痛の種も消えるね」
王家の方にルーナ王女殿下を預け、それとついでに1000人の方も送り付ける。
これで僕のやることはほぼすべてなくなると言ってもいいだろう。
ようやく、僕の平和な領地運営ライフが帰ってくるというわけだ。
やっぱり、領地運営は過ぎに終わるようなものが一番だわ。
いやぁー、この後、何をしようかなぁー?大学……の前段階として、寺小屋レベルのものを乱立させてみる?やっぱり人を育てることからだよね。
後、腕時計とか作ってみるのもありかな?目指せ、スイスなのかもしれない。
「うーん」
これからどうするか、そんなことを僕が考えている間に王家の馬車は自分の屋敷の方へと入ってきた。
お迎えの方はマリエと使用人。そして、数人の騎士の方に任せている。
一応、僕も貴族。王家からの使者とはいえ、貴族でないものをわざわざ玄関で出迎えるなんてこ───。
「なぁーんでぇっ!?」
止まった馬車。
そこの中から出てきた国王陛下の姿を見た瞬間、僕は大きな声で悲鳴をあげるのだった。
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