さながら
1000人の幽閉なんて絶対に無理だ。
不可能。
我が領地に出来ることじゃない。
だが、やらなくてはならない。
「……無理があるなぁ」
その無茶を押し通すため、取り合えず1000人を我が屋敷の下にある地下牢へと運んできた僕は今、目の前に広がっている現状を前にボヤき声を漏らす。
地下牢だって別に大きいわけじゃない。
1000人入れればどうなるか。
もう所狭しと一切の隙間なく床を埋め、その上で天井が許す限り人の上にも人を乗せ、それでも入りきらなかったので、最後の人はもう圧死してしまうのではないかと思うほどに押し込むことで無理やりにでも詰めた。
もう限界……なんてレベルを超えて今である。
流石にこのままは無理だろう。
とはいえ、ここ以外に入れられる場所なんてないし……どうするか。
「うーん……」
悩んだ末。
「床、ぶち抜くか?」
結果、僕はこの床をぶち抜き、巨大な地下空間を作って、この1000人を詰めてしまうことにするのだった。
■■■■■
フェーデがこう、魔法的な力で、上にある建物が崩れないように拡張してくれた巨大な地下空間。
そこに1000人を落とした後、これまたフェーデの魔法で彼らの意識を回復させてもらっていた。
「こ、ここは……」
「たしか俺は……」
意識が回復してきた彼らはのろのろと体を震わせながらゆっくりと立ち上がって、口々に疑問の声を上げ始める。
「さて、と」
そんな彼らを見降ろしながら、僕はゆっくりと口を開く。
気分はさながら、デスゲームの主催者である。
「まずはようこそ、我が領地に。せっかくの観光客だ。当主である僕が自ら、直々に接待してやろう。故に、喜んでくれたまえ」
僕は偉ぶった口調で、自分の下にいる1000人へと声をかける。
「「「……ッ!?」」」
混乱が広がっていた1000人も、僕からの言葉を受け、現状を把握できたのだろう。
自分たちがいる穴の上から見下ろしている僕へと鋭い視線を向けながら、警戒心のこもった視線を向けてくる。
「まずは聞こうか。君たちの所属。目的は何かね?」
「……何があっても、私たちは口を割らないぞ」
僕の疑問に対して、1000人の中から代表し、一人の男が口を開く。
うん、この時点でこの1000人がしっかりと教育された組織のものだということがわかったね。
「ならば、それで構わないよ……君たちはずっとそこに居ればいい。あぁ、安心してよ。ちゃんと、ご飯あげるから……糞尿で病気になるまでは生きていられるはずだから」
「「「……っ」」」
尋問なんて焦ってやることはない。
「フェーデ。監視は任せたよ」
「うむ!我に任せたまえ!人類如きには負けぬ!」
僕はここの監視をフェーデに任せ、自分はこの場を後にするのだった。
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