既に
フェーデを自分が便利な召使として使っている僕を見て、驚愕していたルーナ王女殿下を半ば強引に退場させた後。
「……確かにおかしいかぁ」
僕は一人、ぼそりと言葉を漏らしていた。
感覚がバグっていたけど、冷静に考えて、最強の種族の竜であるフェーデを家事に割りふっているのはどう考えても一旦無駄か。
「いや、まぁ……でも、それ以外に使い道もないしなぁ」
とはいえ、そもそもとしてこんな小さな男爵家に剣聖だけではなく、竜までいること自体が無駄なのである。
このままフェーデを僕は無駄遣いすることしかできないだろう。
僕以外のところに行ってくれ、って言ったらフェーデは怒るだろうしなぁ。
「まぁ、良いや」
なんかこんなこと、今更考えているのが馬鹿らしいや。
僕はマリエとフェーデの二人を愚直に信じる。
ただこれだけでいいじゃないか。
「よしっ……」
くだらない思考は頭の端に追いやって僕はお仕事をしようかねぇ。
「よっと」
僕は棚の上から紙をとり、自分の前にある万年筆を自分の手で握る。
「うーん、と」
そして、紙に今回の件について、国王陛下へと報告するための書類を書いていく。
そんな中で。
「ディザイア様っ!」
「ディザイアっ!」
僕の執務室へとマリエとフェーデが転がり込んでくる。
「一体、どうしたの?こんな急いで」
マリエとフェーデがこんなに急いでいるなんてどうしたのだろうか?……この二人に、何か競争させていたことなんてあったけ?なかったよね。
僕は普通にいつも通りのことを楽しんでいたはず。
マリエには屋敷の護衛を、フェーデには皿洗いを。
なのに、何で二人はこんなに焦っているんだ?
「侵入者が現れましたので撃退しました」
「そういうことっ!」
「はっ!?侵入者!?何でっ……えっ?数は?」
焦るのも分かるような言葉を告げられた僕は慌て始めて、口を開く。
「私は522名です」
「私は513名だ」
「えっ?なんて?」
二人で1000人強とかいうちょっと信じられないような数字を聞いた僕は思わず聞き返すのだった。
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